G1ジョッキーも「自然の力」には逆らえず!? 天皇賞・春(G1)制覇を“密かにアシスト”大先輩との久々タッグはお預け
先週末の競馬開催で最も疲労が蓄積したのはこのジョッキーかもしれない――。13年目、31歳の中堅、菱田裕二騎手だ。
菱田騎手は6日の函館競馬で全12レースに騎乗。2~3Rを連勝し、今年の勝ち鞍を19に伸ばしていた。
7日の小倉競馬ではメインのプロキオンS(G3)にハピとのコンビで参戦。ヤマニンウルスに次ぐ2番人気に支持されたが4着に敗れ、前走・平安S(G3)2着の借りを返せなかった。
この日の菱田騎手は他にも8R・1勝クラスと10R・耶馬渓特別(2勝クラス)の計3鞍に騎乗。4番人気のゼンノツキヨミで臨んだ8Rは2着に食い込む活躍も見せた。
ただ、この日の菱田騎手はもともと計4鞍に騎乗することになっていた。
幻の一鞍となったのが3Rの3歳未勝利戦(芝2600m)。メイショウアンゾフ(牡3歳、栗東・四位洋文厩舎)と初コンビを組む予定だったが、当日の早朝になってJRAが坂井瑠星騎手への乗り替わりを発表していた。
8R以降は予定通りに騎乗した菱田騎手だが、3Rでいったい何があったのか?
「JRAからは『事故』と発表がありましたが、厳密には函館から小倉へ予定通り移動できなかったためです。羽田空港で落雷があった影響で予約していた便が欠航。土曜は北海道で足止めを食らってしまったようですね」(競馬記者)
幸い日曜には天候も回復。午後のレースには間に合ったが、3Rが行われていた頃はまだ小倉へ移動中だったのかもしれない。
四位洋文厩舎と久々タッグはお預けに
初コンビはお預けとなったメイショウアンゾフだが、デビューからダートでいいところなく3連敗中だった馬。今回が初の芝で変わり身が期待されたが、9番人気で9着に敗れている。結果的に菱田騎手が騎乗していても、厳しい結果に終わっていた可能性が高いが、是が非でも乗りたかったはずだ。
その理由は、同馬が四位厩舎の管理馬だからである。今年の天皇賞・春(G1)をテーオーロイヤルとのコンビで制した菱田騎手だが、G1初勝利の陰には四位調教師の存在もあったという。
詳しくは『中山馬主協会』のホームページに連載中の『キャプテン渡辺の WINNER’S CIRCLE』というインタビュー記事に掲載されているが、菱田騎手はデビューから京都コースの外回り、特に3コーナーから4コーナーにかけて苦手意識を持っていたようだ。
そこで、騎手として大先輩の四位師に自らアドバイスを求めると、騎手を引退後4年以上が経っているにもかかわらず「向正面から3コーナーにかけての上り。そこからの急な下り。4コーナーの回り方……ひとつ、ひとつ、細かく、丁寧に教えていただきました」という。
そんな背景もあって、2022年11月を最後に1年8か月も遠ざかっていた四位師からの騎乗依頼には菱田騎手も意気に感じていたはず。2か月前の恩返しを果たしたかったところだが、今回は自然の力には逆らえなかったようだ。