
ディープインパクト産駒なら「外国馬」でもジャパンCに勝てる!? 興味深い世界最強馬オーギュストロダンの参戦

外国馬が最後のジャパンCを勝ったのは19年前
馬券は20歳になってから――。今年になって馬券を買えるようになるのは、2004年生まれの誕生日を迎えた人たちだ。つまり今年のジャパンC(G1)の馬券を買えるのは、2004年の11月24日までに生まれた人たちとなる。
「世界に通用する強い馬づくり」を掲げ、1981年に第1回を迎えたジャパンC。創設当初は、それこそ強い外国馬の洗礼を浴び続けたが、カツラギエースが日本馬初Vを飾ったのが1984年の第4回。それから40年の時が経った近年のジャパンCは、逆に強い日本馬の姿を世界にアピールする場になっている。
ちなみに最後に外国馬が勝ったのは、2005年のアルカセット。冒頭で触れた2004年生まれの人たちがまだ1歳の時になる。記録には残っても、記憶には残っていないだろう。それどころか、馬券圏内を賑わせたのも2006年に3着したウィジャボードが最後。最近は掲示板に入ることさえ難しい状況が続いている。
無論、それだけ日本競馬のレベルが上がったことは間違いないが、外国馬が活躍できないもう1つの大きな理由が日本特有の高速馬場だと言われている。
今や世界有数の競馬大国に進化した日本だが、フランスの凱旋門賞(G1)には未だ手が届いていない。その大きな理由がやはり馬場の違いであり、2017年に15着に惨敗したサトノダイヤモンドの池江泰寿調教師が「東京の2400mでやれば(その年の凱旋門賞を勝った)エネイブルよりウチの方が強い。100%とは言い切れないけど、10回やれば9回は勝つ」と語ったのは有名な話だ。
日本と欧州。その両者の隔たりとして、馬場はもちろん、競馬文化の違いなど様々なものが高き壁になっている。その中の1つがサラブレッドを形成する血統であり、日本には日本の馬場で活躍した、欧州には欧州の馬場で活躍したそれぞれの種牡馬がいる。
ジャパンCを例に挙げるなら、やはりディープインパクトは外せないだろう。
最強の血を持つ外国馬がジャパンCに参戦?
自身が2006年の覇者であるだけでなく、種牡馬としても2012年から2022年の11年間で4勝2着5回3着3回という圧倒的な実績を誇っている。「世界で最もジャパンCに向いている種牡馬は?」と聞かれれば、多くの識者はこの馬を挙げるはずだ。日本競馬の中心は東京・芝2400mであり、その頂点に立つディープインパクトは、まさにジャパンCの申し子である。
では、その世界で最もジャパンCに向いている種牡馬「ディープインパクトの血を受け継いだ外国馬」なら、2005年以来19年ぶりのジャパンC制覇が狙えるのではないか?
そんな反則技……もとい、金棒を手にした鬼が愛国馬オーギュストロダン(牡4歳、愛・A.オブライエン厩舎)である。
「今年後半のジャパンCに彼を連れてくることが夢です――」
実は、世界最大で最も広く読まれているサラブレッド新聞『サラブレッドデイリーニュース』の15日の報道によると、オーギュストロダンを所有するクールモアは、今秋のジャパンCに本馬を参戦させる意思があるようだ。
オーギュストロダンといえば昨年の英・愛のダービー馬であり「ディープインパクト最後の大物」と言われる存在である。昨秋の米ブリーダーズCターフ(G1)でも、一昨年のジャパンCで2着したシャフリヤールらを蹴散らしており、今夏のキングジョージ6世&QES(G1)で大本命に推されることが濃厚という世界最強の現役馬だ。
参戦を表明するだけでも大変な超大物だが、そんな強豪は「ジャパンCの申し子」ディープインパクトの仔……。これは、やはり19年ぶりの外国馬によるジャパンC制覇、いや、日本馬の連覇が18で途切れる危機ではないだろうか。今の日本競馬には、昨年のイクイノックスのような看板が不在である。
ポイントは日本の高速馬場への対応となるが、陣営は「彼には速い馬場とアグレッシブな騎乗が必要」と自信を見せている。まだ半年後の話だが「今年の彼のメインの目標になるでしょう」と陣営の意気込みは小さくない。
果たして、世界の超大物の参戦は実現するのだろうか。そして、迎え撃つ日本から新たなヒーローが登場するのか。日本競馬が世界に誇るジャパンCは、今年も大きな注目を集めることになりそうだ。
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