【セントライト記念】世界最強馬イクイノックスの父は6番人気で制覇…ドゥラメンテの影に隠れた名馬は武豊との出会いからスター街道へ
現役時代にG1・7勝を挙げたキタサンブラック。引退後は種牡馬として世界最強馬イクイノックスを世に送り出し、昨年の皐月賞(G1)をソールオリエンスが優勝したことにより、産駒のクラシック初制覇も成し遂げた。
初年度の種付け料は500万円に設定され、2019年から20年は400万円、2021年に300万円まで下がったが、初年度産駒のイクイノックスが世界を股にかける大活躍を見せたことで評価も急上昇。今年は昨年の1000万円から倍増の2000万円まで跳ね上がった。
そして、同じく引退後に種牡馬となった孝行息子イクイノックスの種付け料は、国内産馬で史上初の2000万円でスタート。エリートの集まる社台スタリオンステーションで父子揃って双璧をなす存在とまでなった。これからはライバルとしても大きな注目を浴びるだろう。
イクイノックスの父は6番人気でセントライト記念制覇
その一方、これほどまで輝かしい実績を残しているキタサンブラックも、デビュー当初からディープインパクトのような馬だった訳ではない。
2015年に後藤浩輝騎手を背に勝利した3歳1月のデビュー戦は3番人気、2戦目の500万下も北村宏司騎手が騎乗して9番人気で勝利したキタサンブラック。3戦目にリアルスティールやダノンプラチナを破ってスプリングS(G2)を制したことにより、皐月賞で4番人気の支持を集めるまで評価が上がった。ただこのときの鞍上も北村宏騎手と、どちらかというと少し地味な存在だったといえる。
とはいえ、3着に善戦した皐月賞でリアルスティールに逆転を許しただけでなく、同世代に世代最強馬として確固たる評価を得ていたドゥラメンテがいたことも大きかった。
圧倒的な強さを見せて春二冠を達成したライバルに対し、日本ダービー(G1)のキタサンブラックは6番人気14着に大敗。このままの成績が続くようなら、毎年よくいるちょっとした穴馬で終わっていたかもしれない。
しかし、1月末のデビューから5月末の日本ダービーまで月1走ペースで使われていたことを思えば、押せ押せムードで連戦した陣営の采配も無関係ではなかったはずだ。
ダービー惨敗の印象が強かったこともあってか、秋の復帰戦に選ばれたセントライト記念(G2)は、なんと6番人気。ダービーで先着を許したサトノラーゼンや夏の上がり馬らが出走していたものの、後々の活躍に比してあまりにも軽視されていたともいえる。
レースはマイペースで逃げた横山典弘騎手のミュゼエイリアンを2番手から競り落としたキタサンブラックが3/4馬身の差をつけて勝利。ダービー後に骨折で戦線を離脱したドゥラメンテが不在のラスト一冠で菊の大輪を咲かせることになる。
続く年末の有馬記念(G1)は横山典騎手を迎えて3着。翌春の大阪杯(G2・当時)から武豊騎手との新コンビが決まり、天皇賞・春(G1)で2つ目のG1タイトルを手に入れた以降は、トントン拍子でスターへの階段を駆け上がっていった。
近年のセントライト記念は、キタサンブラックが制した15年を最後にその後にG1を制した優勝馬は登場していない。今年の優勝馬は、9年続いた負のジンクスを覆すことができるだろうか。