【徹底考察】日本ダービー(G1) ヴァンキッシュラン「歴代2位の好タイムだった青葉賞馬は『ジンクス』を打ち破れるか」
【血統診断】
ガリレオは欧州で大成功を収めている歴史的な種牡馬だが、それ故に日本の軽い芝に合わず、産駒は苦戦を強いられている。本馬はそんなガリレオ産駒ではなく、母方の父となるが、それでもガリレオの血を持った馬が日本の重賞を勝ったのは、前走の青葉賞が初めてだった。
その最大の功労者は、やはり日本に合った軽さの象徴ともいえる父ディープインパクトに他ならない。ちなみに母リリーオブザヴァレーはフランスのG1オペラ賞を勝ち、その半弟には一昨年のUAEダービーを圧勝したムブタヒージがいる世界的な良血だ。
ただ、それでもディープインパクト産駒としては重い血統の馬であることに変わりはない。そのため、今回も青葉賞のように持続力勝負になれば、本馬が浮上する余地は十分にあるといえる。皐月賞があれだけのハイペースだったのだから、可能性は0ではないはずだ。だが、逆に瞬発力勝負になった際に一線級に通用するのかは、どうしても不安が残る血統構成だ。いずれにせよ、青葉賞のような積極的な競馬を期待したい。
≪結論≫
これまで考察した通り、ヴァンキッシュランが日本ダービーで浮上するには、できるだけ速いペースからの持続力勝負になる展開が望ましいはずだ。そういった点で、青葉賞でハナを切ったマイネルハニーがダービーに出走してきたのは、大きなプラス要素だろう。できれば青葉賞よりも、さらに飛ばして逃げてほしいところだ。また『考察』で述べた通り、歴代2位の優秀な時計で勝った青葉賞だが、その内容はスタミナがものを言った持続力勝負だった。
しかし、仮に本番が瞬発力勝負となり、もっと速い上がりが要求されるとどうか、という不安はある。実際に本馬は2000mの未勝利戦を勝って以降、これで3戦連続2400mを使っている。「ダービーを意識して」といえば聞こえはいいが、逆に陣営が2000m以下へのスピード不足を感じているからこそのローテーションとも捉えることができる。
従って、ヴァンキッシュランが日本ダービーを勝つために、何よりも必要なのは「積極性」だ。例え、スローペースになったとしても鞍上の内田博幸騎手には馬のスタミナを信じて、早めのスパートからレース後半の主導権を握り、持続力勝負に持ち込みたいところだ。
逆に、リオンディーズの暴走があったり、マイネルハニーの逃げに強引に絡む馬が現れて、皐月賞のような超ハイペースになった場合は、ヴァンキッシュランの母方に流れる欧州血統が青葉賞馬の”ジンクス”を吹き飛ばす可能性は十分にある。