【徹底考察】日本ダービー(G1) スマートオーディン「スマートオーディンは『キズナ』になれるのか?2013年のダービー馬との『決定的な違い』とは」
『考察』
共同通信杯(G3)で敗れた後、あえて皐月賞(G1)には向かわず、目標を日本ダービー(G1)一本に切り替えて毎日杯(G3)と京都新聞杯(G2)を連勝したスマートオーディン。
その姿に、2013年のダービー馬「キズナ」の姿を重ね合わせる人も多いことだろう。
2013年、毎日杯と京都新聞杯を連勝し、ついには日本ダービーまで制したキズナ。高い能力は然ることながら、後方から世代屈指の末脚を使うスタイルなど共通する部分も多いだけに、スマートオーディンも先輩に続けるか大きな期待が集まっている。
ただ、その一方でキズナのイメージが強烈なだけに、スマートオーディンの実力を誇張して評価するマスコミも多く、上がり3ハロンの強烈なタイムだけを見て「キズナ以上の器」と唱える者さえいる状況だ。
無論、すでに重賞3勝を挙げているスマートオーディンを弱いと述べるつもりはない。だが、実際のところ日本ダービーを勝った先輩キズナとの力関係はどうなのか。
それには、まず2頭が日本ダービーに向かうまでに連勝した毎日杯と京都新聞杯を考察したい。出走頭数こそ差があるが、後方から競馬する2頭の位置取りに大きな差はない。
毎日杯(G3)阪神外回り 芝1800m いずれも良馬場
1000m通過タイム「58.6秒」上がり3ハロン「34.3秒(1位)」キズナ
1000m通過タイム「61.6秒」上がり3ハロン「32.7秒(1位)」スマートオーディン
京都新聞杯(G2)京都外回り 芝2200m いずれも良馬場
1000m通過タイム「59.2秒」上がり3ハロン「34.5秒(1位)」キズナ
1000m通過タイム「60.8秒」上がり3ハロン「33.8秒(1位)」スマートオーディン
上記のレースを見比べてまず思うことは、ペースに大きな差があるということだ。具体的に述べればキズナが「58.6秒」「59.2秒」というまずまず厳しい流れを連勝していることに対して、スマートオーディンの方は「61.6秒」「60.8秒」と比較的緩やかな流れを連勝している。
ちなみにキズナの日本ダービーは1000mの通過は「60.3秒」。平均ペースながらキズナにとっては、ここに至る2走よりも流れが緩くなった分、上がり3ハロン「33.5秒」というメンバー最速の強烈な末脚を繰り出して世代の頂点に立っている。
その上で過去5年間、良馬場で行われた日本ダービーは4回あるが、その1000m通過タイムは「58.8秒」「59.6秒」「60.3秒」「59.1秒」。キズナの年が最も遅いが、それでもスマートオーディンの京都新聞杯よりも0.5秒も速い。
無論、過去5年のペース傾向が、そのまま今年の日本ダービーにも当てはまると言い張るつもりはない。だが、それでもペースの上がった日本ダービーで、スマートオーディンがこれまでのように素晴らしい末脚を発揮できなくなる可能性は否めない。
それがキズナとの最も大きな違いだ。