【徹底考察】日本ダービー(G1) スマートオーディン「スマートオーディンは『キズナ』になれるのか?2013年のダービー馬との『決定的な違い』とは」

【血統診断】

 初年度産駒から、いきなり本馬スマートオーディンのような大物を送り出したダノンシャンティだが、それも当然なのかもしれない。何故なら、ダノンシャンティの母シャンソネットは世界的名牝のグローリアスソングの産駒であり、兄弟にはグランドオペラ、ラーイ、シングスピールといった日本でも成功している種牡馬がズラリと並ぶ。日本への適合性も高く、以後も大きな期待が持てる種牡馬だ。そして、この馬の世代トップクラスのキレを生み出しているのが、ディープインパクトの母父でもあるアルザオの存在だろう。

 ただし、まだ初年度産駒なので何とも言えない部分があるものの、ダノンシャンティ自身がNHKマイルCの勝ち馬であり、その父がフジキセキである以上、ある程度距離に限界のある種牡馬の可能性が高い。母はアイルランドで2000mのG2を勝っており、実際に本馬が2200mの重賞を勝っているのだから、東京の2400mで大きく失速することは考えにくい。だが、決してベストディスタスでない印象は拭い切れない。

 瞬発力に特化している分、持続力に乏しい配合なので、できればスローペースからの末脚比べが望ましい。

≪結論≫

『考察』で述べた通りキズナとは異なり、スマートオーディンには速い流れに対する対応力に不安が残っている。実際に、スマートオーディンが唯一大きく崩れた共同通信杯の1000mの通過は「60.0秒(稍重)」。これはスマートオーディンが経験した最も速い流れである。馬体重や馬場コンディションの問題もあっただけに一概には言えないが、スマートオーディンが速い流れに対して未知数なのは確かだ。

 無論、ペースが速くなれば基本的に折り合いがつけやすくなる。それは、ここまですべてのレースで、行きたがる素振りを見せている本馬にとってプラスになるかもしれない。

 だが、それ以上に【血統診断】で述べた通り、スマートオーディンには東京2400mで戦う上で、いや、日本ダービーを勝ち切る上ではスタミナに若干の不安があるように感じる。

 実際に2200mの京都新聞杯は内容的には余裕の完勝だったが、2着馬とは3/4馬身差。毎日杯ほどの強さを感じなかったのは、もしかしたら微妙に距離が長いせいかもしれない。

 最後にキズナとスマートオーディンの違いを述べておくと、おそらくスマートオーディンはキズナよりも「切れる脚を使える」が、キズナよりも「スタミナ面で劣る」。それは天皇賞・春で2年連続惨敗し、明らかに距離の限界を見せていたキズナであったとしても、やはりスマートオーディンの方がスタミナ面の不安は大きいということだ。

 従って、スマートオーディンの日本ダービーは、スローの瞬発力勝負になればなるほど望ましい。希望は、エイシンフラッシュが勝った2010年(1000mの通過が61.6秒)のような展開だといえる。
(監修=下田照雄)

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