武豊とスマートレイアー最後の挑戦! 悲願のエリザベス女王杯制覇へ”芦毛の名牝”に立ち塞がる「世界のムーア」と「数奇な運命」
「もうひと花咲かせてあげたい」
ただその思いを遂げたくて、武豊騎手はスマートレイアー(牝7歳、栗東・大久保龍厩舎)の騎乗依頼を受けた。先月9日の京都大賞典(G2)。その日は盛岡で南部杯(G1)が開催され、主戦を務めるコパノリッキーは1番人気。G1制覇のチャンスだった。
「本当に悩みました。悩んで、悩んで、また悩んで。今回は、より長いつきあいとなったスマートレイアーに乗せてもらうことにしました」
自身が連載する『週刊大衆』のコラムに、そう当時の心境を綴っている武豊騎手。率直に述べて、客観的には断るデメリットはそう大きくないように感じられた。何故なら、仮にスマートレイアーに乗らなくとも、エリザベス女王杯(G1)には有力な3歳馬リスグラシューで出られることが濃厚だったからだ。
初めて出会った2013年のデビュー戦から「いずれ、大きな勲章を獲れるはず――」そう思い続けて5年が経った。7歳を迎えたスマートレイアーは、今や押しも押されもせぬ強豪として名を馳せていたが、未だG1タイトルには手が届いていない。
ここまでG1に挑むこと8回。昨年など、悲願達成を求めて香港まで遠征したが、5年前の秋華賞(G1)の2着が最高という結果に終わっている。それはキャリア27戦の内、17戦で手綱を執った主戦騎手にとっても大きな心残りに違いない。
だからこそ、武豊騎手はスマートレイアーと「最後の勝負」を懸けることを決めた。