武豊とスマートレイアー最後の挑戦! 悲願のエリザベス女王杯制覇へ”芦毛の名牝”に立ち塞がる「世界のムーア」と「数奇な運命」
G1制覇のチャンスを捨ててまで(実際にコパノリッキーは南部杯を勝利)挑んだ前走の京都大賞典では、それを補えるだけの”意地”を見せた。自身が「溜めに溜めた」と自画自賛した末脚はメンバー最速の33.4秒を記録。インコースから馬群を縫うように進出し、シュヴァルグランら強豪牡馬の間を突き抜けた。
「直線半ばで『進路さえ出来れば』と思っていました。7歳なので、今年がラストチャンスのつもりで挑んでいます。エリザベス女王杯もいい結果を出したい」
春の京都記念(G2)ではサトノクラウンに屈したものの、昨年のダービー馬マカヒキに先着する2着を確保。エリザベス女王杯が開催される京都外回りコースでは一線級の牡馬と互角以上の戦いを演じており、G1制覇はもう手を伸ばせば届くところまで迫っているはずだ。
今回のエリザベス女王杯は、年齢とともに白さを増してきた芦毛の牝馬にとって、生涯最後にして最大のチャンスになる可能性が高い。
ただ、白い馬体が強豪牡馬の間を割って突き抜けた姿は、1頭の牝馬を思い起こさせる。2010年の京都大賞典を勝ったメイショウベルーガだ。実はスマートレイアーの以前に、牝馬ながら京都大賞典を勝ったのが、この芦毛の牝馬だった。
スマートレイアー、メイショウベルーガ、スイープトウショウ、ヒシアマゾン、そして武豊騎手にとって初の重賞制覇となったトウカイローマン。京都大賞典を制した牝馬は、いずれもG1級の名牝であり、メイショウベルーガも当然ながらG1制覇が期待された存在だった。