今こそ思い出す、1998年の史上最強「G1完全制覇」世代。18年の時を経て、新・最強ダービー世代に託された「夢」の継承
時代は、世界中から次々と輸入される外国産馬全盛の時代。
スペシャルウィークのライバルはクラシックを争う「三強」だけでなく、4戦4勝で朝日杯(G1)をレコード勝ちしたグラスワンダー、そして5戦5勝でNHKマイルC(G1)を制したエルコンドルパサーら、当時はクラシック出走権を持たなかった外国産馬にも及んだ。
そして後に、彼らは競馬界全体を巻き込んで「真の三強」を形成してゆく。
その後、菊花賞(G1)を世界レコードで制して、スペシャルウィークに借りを返すこととなるセイウンスカイ。スプリンターに転向し、ついに栄冠を掴んだキングヘイロー。牝馬二冠に輝いた胡蝶蘭ファレノプシス。
海外の短距離G1で2勝を挙げた世界のスピードスター・アグネスワールド。グラスワンダーを退けて春秋統一マイル王となったエアジハード。ダート王のウイングアローに、最強マイラー・タイキシャトルの引退レースで土をつけたマイネルラヴ。
すべての路線で超一流馬が出揃った、まさに史上最強の世代。翌年にはエルコンドルパサーが世界の頂点を目指して異例の長期海外遠征を実施し、凱旋門賞(仏G1)で史上初の2着となる活躍を見せ、グラスワンダーも宝塚、有馬記念といったグランプリを連覇。
翌年の天皇賞を春秋連覇するスペシャルウィークを含め、エルコンドルパサーが海外観戦で不在だったにもかかわらず、この世代は当時存在したすべてのG1を総なめにしている。
まさに綺羅星のごとくタレントが揃った1998年から18年後、今年の3歳世代もまた、あの時のように早くから「史上最強世代」という評価を欲しいままにして、日本ダービーを迎えることとなった。
すでに牝馬クラシックではマイル王のメジャーエンブレムに、桜花賞馬のジュエラー、オークス馬のシンハライトが史上まれに見るハイレベルな「三強」を形成。ダートではUAEのダービーを制したラニが、今度は世界の頂点を目指してアメリカのクラシックに参戦している。
この牡馬クラシック路線もまた日本ダービーの結果によって、大きな変貌を遂げることだろう。だが、いずれにせよ、この戦いはグラスワンダーやエルコンドルパサーを欠いた”あの時”とは異なり、紛れもなく「世代の頂点」を決める戦いとなる。
そして、その結果が後の「世界への挑戦」につながることは、もはや疑いようのない事実となった。
1998年にクラシックを戦った最強世代が、成し得なかった世界の「頂点」―-。
そこに彼らが、必ずや届くことを多くのファンが今から願って止まない。新たな史上最強世代による、日本ダービーが始まろうとしている。