有馬記念(G1)キタサンブラックを脅かす「苦労人」とは!? 競馬女王・桃井はるこがグランプリを一刀両断!!!!
桃井:ブレスジャーニーですね! 有馬記念は、すでに終わった馬と言われていたオグリキャップが復活勝利を飾ったり、前走で引退が示唆されていたジェンティルドンナが優勝を果たしたりするなどドラマがある、不思議なことが起こるともいわれます。
ブレスジャーニーは父馬バトルプラン、母父はタニノギムレットで曾祖母にはエアグルーヴの母馬ダイナカールというめちゃくちゃおもしろい血統を持っているんです。さらにデビュー間近に生まれ故郷の牧場で射殺事件が発生。一歩間違えれば、同馬が被害にあった可能性も指摘されています。間一髪で危機を免れた同馬は、2歳時に重賞を2勝するなど無類の強さを発揮して、クラシックに向けて期待が集まるも、ケガで無念の長期離脱、そしてその間には転厩などなど。もう苦労の連続なんですよ。
クラシックを棒に振った同馬ですが、菊花賞(G1)で復帰。復帰初戦こそ12着でしたが、ここは稀に見る不良馬場だったため、度外視してもいいでしょう。前走のチャレンジC(G3)が復帰1戦目で叩き台だったと考えれば、有馬記念でも十分勝ち負けに絡む可能性があるのではないかと。
また今回のレースで鞍上は、デビュー後すべてのレースで手綱を取っていた柴田善臣騎手から三浦皇成騎手へ乗り替わり。新時代の天才といわれた三浦騎手ですが、その後は思うように勝ち星が伸びず、さらに昨年は落馬で生死をさまよう大ケガを負いました。今年の8月に長期のリハビリを終えて復帰したものの、三浦騎手の騎手生活も苦難の連続です。
挫折を経験した馬と人間が一緒にキタサンブラックに挑戦。ゴール前で叩き合いを演じ、最後の最後まで競り合うもののやはりキタサンブラックが強かった、という形でワン・ツーを飾って欲しいです。その様子を想像するだけで泣きそうになります!
――非常にドラマチックな展開を期待されているんですね。
桃井:そうなんですよ。そして、またブレスジャーニーとは別のドラマチックな展開が期待できる馬といえば、カレンミロティックです!! 16年の天皇賞・春(G1)でキタサンブラックにタイム差ナシのハナ差で2着。13番人気ながら、キタサンブラックの牙城に迫り、直線の叩き合いではあわやというところまで追い詰めた走りを、今でも鮮明に思い出すことが出来ます。あの姿は本当にかっこよかった……。
9歳と高齢ですが、セン馬は老いてこそ走るという都市伝説もありますし、あの時の走りをここでもう一度見せてもらいたいですね。
そしてもう1頭、期待したいのはレインボーラインです。ステイゴールド産駒で悪道巧者として知られています。今年の天皇賞・秋(G1)では不良馬場の中で3着と好走しており、有馬記念の荒れている馬場も気にならないはず。さらに昨年の札幌記念(G2)で3着に入るなど小回り競馬場も苦にしていないようです。
前走のジャパンカップこそ6着でしたが、レース運びがあまり勝ちにいっているようには見えず、有馬記念の叩き台にしていたような気がするんです。ここで、真骨頂を発揮してくれるはずです。