武豊が「ポスト武」不在に危機感。競馬界の未来を憂うレジェンドが昨年「新人最多勝騎手」の名を挙げた意外な理由とは
影響力を考慮して、個人名こそ出さなかったものの「今の新人騎手は騎乗技術が上がってきているし、見ていて『こいつはできる』とか『どんどん上手になってきている』と思う若手もいる」と語った武豊騎手。
日本人騎手の活躍、延いては日本競馬の未来を憂う1人として、かつての自分のような10代、20代から競馬界の中心を担う飛躍を遂げる若武者の出現を心待ちにしているようだ。
普段からあまり他人のことを話さない武豊騎手が、公の場でここまではっきりと発破を掛けることは珍しい。ただ逆に言えばそれだけ現状に対して、危機感が募っているということの表れでもあるのだろうか。
武豊騎手がデビューしてから31年。日本の競馬界はずっと「ポスト武豊」という至上命題を突き付けられてきたが、未だ解決に至っていない。同じく2世騎手である福永祐一騎手を筆頭に、浜中俊騎手や川田将雅騎手などの名前が挙がることはあっても、その”領域”には遠く及ばないのが現状だ。
それを誰よりも実感している武豊騎手は、現状の新人・若手騎手に対して「もっとガツガツしてもいい」「(自分に取って代わる様な)すごい騎手が出てこないとまずいと思いますよ」と危機感を募らせている。無論、武豊騎手のような国民的スーパースターを生み出すのが容易でないことはこれまでの歴史が物語っている。だが、最早そんな”言い訳”が通用しないほど切羽詰まった状況ということなのだろう。
その一方で、当然ながら有望な若手騎手の芽も出てきている。
特にデビューイヤーとなった昨年、新人最多の24勝を上げた武藤雅騎手は、今年早くも3勝を上げてリーディング13位につけるなど伸びしろ充分。当然、武豊騎手の目にも止まっているはずだが、インタビューの中でその名が挙げられたのは意外なところだった。