武豊ジャンダルムは「第2」のエアスピネル!? 完敗の弥生賞で天才騎手の「普通ならトップレベル」発言に思い出される2年前の「不思議な感覚」
そう話す川田将雅騎手からは、前哨戦を制した興奮よりも、ダノンプレミアムという大器と向かうクラシックへ、まず1つ階段を上がったことによる安堵の表情が見て取れた。連勝が止まってしまったものの、ワグネリアンの福永祐一騎手にとっても「次に向けて、良い経験になりました」と逆転へ確かな収穫を得たレースだったようだ。この日のレースぶりを見ても、この2頭が皐月賞の主役を務めることは、ほぼ間違いなさそうだ。
ただ、その一方で最後まで悲壮感が消えないのが、ジャンダルムに騎乗した武豊騎手だった。
最後に逃げ粘るサンリヴァルを捉え優先出走権を確保したジャンダルムだったが、「(相手が)強すぎる……」と武豊騎手の表情は冴えなかった。「前走(ホープフルS、2着)よりも雰囲気や走りは良かったし、いいレースはできていた」と相棒を評価したが、満足のいくレースが出来たからこそ「普通なら(世代で)トップレベルだけど、今日は相手が強かったね」と完敗のダメージは大きいようだ。
実は武豊騎手は、2年前の同じく弥生賞でこんなコメントを残している。
「不思議な感覚です。良いレースができて、馬自身は最後までしっかり走っています。普通なら勝てるレベルの内容で3着でした。今年の馬たちは強いです――」
当時の武豊騎手の相棒は、同じく2歳のG1で”準優勝”したエアスピネルだった。あの時も武豊騎手は、ほぼ完璧と述べて差し支えないレースをした。しかし、結果は3着。前を走っていたのは、やはり2歳王者と無敗馬のディープインパクト産駒だった。
その後のエアスピネルの苦戦……いや、善戦ぶりは数多くの競馬ファンの心を射止めた。しかし、レースを繰り返すほどに浮き彫りとなったのは、全力を出し切っているからこそ、より「明確」となる頂点との距離感……。皐月賞4着、日本ダービー4着とあと一歩の結果だったものの、菊花賞を迎えるころには”悲壮感”ばかりが先行していた。