JRA幸英明「大活躍」は「アレの抑制」だった!? 競馬界きっての「愛され男」が手に入れた「感覚」と境地
そんな幸騎手が、だんだん調教師になりたい気持ちが芽生え始めた2016年。JRAの調教師試験の過去問題集を取り寄せていたという。毎年騎乗機会が900回〜1000回ほど行くのが、この年は862回と9年ぶりに900台を割ってしまう。ジョッキーとして特に新しい目標があるわけでもないため、調教師に転じていいのではないかと、モチベーションが明らかにおちていた。
「それが、ある日、我流でやってきた自分の騎乗を一回見直してみようと、幸騎手は競馬出身者ではない方で馬や騎手の動きをわかりやすく解析して教えているアドバイザーを訪ねます。この方はJRAの騎手数名と専属契約をしていて、アドバイスや定期的にセミナーを開いたりと活動されており、幸騎手も一度そのアドバイザーの講義を聞いてみたんだそうです。すると、ハッと気づかされるような話がいくつもあって、目から鱗が落ちる思いだったそうですよ。
幸騎手がそれを早速騎乗に取り入れてみたところ、だんだん馬に乗ることが楽しくなってきたというのです。その証拠に一時期、岩田騎手や蛯名騎手などが取り入れていた馬の背中に尻餅をつくような騎乗方法を幸騎手も取り入れていたのですが、このアドバイザーの話を取り入れるようになってから、尻餅をつく騎乗法を膝と腰を落とす形に変えて、尻餅をつくのをやめています」(同 ライター)
いまでは調教師試験の過去問題集は部屋の本棚に眠ったままだ。
「噂では、ゴルフの数も絞っているという話です。おそらく騎乗方法に向き合う時間を多くしているんじゃないでしょうかね。これまで培ってきた我流の騎乗スタイルに、アドバイザーの指南をミックスさせた”ミユキスタイル”の集大成を、いま完成させつつあるのではないでしょうか」(現場記者)
それが結果となって現れたのが、2017年の高松宮記念(G1)でのセイウンコウセイ優勝と、2018年のヴィクトリアマイル(G1)でのジュールポレール優勝である。どちらも重い馬場の中を、セイウンコウセイは5番人気、ジュールポレールは8番人気で勝ったのだった。芝のG1勝利は2008年のファイングレインで勝った高松宮記念以降、チャンスが無かった。それが今では、2年連続芝のG1を勝っている。しかも人気馬ではない。