「THE 上がり馬」マーベラスサンデーが老衰で死亡。競馬全盛の時代、稀代のスターとともに刻んだ「記憶」と「激闘」
しかし、最終的には自分のレースに徹し、大外後方から信じられない末脚を繰り出して2頭をなで斬りにしたマヤノトップガンがレコード勝利を収めた。サクラローレルが2着、マーベラスサンデーが3着。3強が自身の持てる力を余すところなく発揮した名勝負として、この天皇賞は90年代でも屈指の名勝負として語り継がれている。
続く宝塚記念には憎きマヤノトップガンもサクラローレルもいない中、バブルガムフェローをクビ差制してG1初勝利。この勝利は同馬の能力と同時に、これまで負かされてきたライバルたちがいかに強いのかを示すこととなった。
この後またも骨折し、ラストランは休養明けの有馬記念となった。1番人気で迎えたレースでは、その年の天皇賞を制したエアグルーヴに先着を果たすも、生涯最高の末脚を繰り出したシルクジャスティスに屈し2着。最後までG1競走の上位を確保しながら競走生活に幕を閉じた。
種牡馬となった後は、G1ホースこそ輩出できなかったものの、地方中央を問わず重賞ウィナーや勝ち上がりを継続。自身の安定感を産駒にもしっかりと伝えていた印象である。
まさに「競馬全盛」の時代、すべてのレースで手綱を取り、稀代のスターとなった武豊騎手とともに競馬界に確かな記憶を刻んだマーベラスサンデー。ハイレベルな時代を駆け抜けた勇姿は今後も語り継がれることだろう。安らかに。