JRA札幌記念(G2)マカヒキの真実……「復活」「引退」で揺れる2016年ダービー馬の現在地
そして迎えた4歳秋3連戦は、陣営が早めに休養させたこともあって海外遠征のダメージはほぼ抜けきっていたのではないだろうか。
極めて特殊な馬場となった天皇賞・秋(G1)では、上位陣では唯一後方から追い上げての5着を確保。前を走っていたキタサンブラック、サトノクラウン、レインボーライン、リアルスティールには大きく引き離されたが、仮にこの4頭が今年の札幌記念に出走していれば、勝ち負けが必至の実力馬ばかりだ。ならば逆にソウルスターリングやサクラアンプルール、ステファノス、ヤマカツエース、ネオリアリズムといった辺りに先着を許さなかったことに着目したい。
さらに次走のジャパンC(G1)では4着に好走。またもシュヴァルグラン、レイデオロ、キタサンブラックらには引き離されたが、逆にレインボーライン以下には先着を果たしている。
つまり、この2戦は単純に「完敗した」というよりも「G1級以上のトップ中のトップには及ばなかったが、それ以外には負けなかった」という事実を重視すべきだろう。
「マカヒキは、今なお多くのファンに復活が待たれている存在ですが、昨秋のG1・2戦の結果だけを見れば、実は『昨秋の時点で復活していた』という説もあります。
逆にこの説の判断を難しくしているのが、昨秋の毎日王冠(G2)での惨敗です。ただ、これはスタート直後にいきなり挟まれた挙句、テン乗りの内田博幸騎手が開幕週の馬場を意識したのか、出遅れを取り戻そうとして早めに脚を使ったことが敗因といわれています。最後の直線で狭くなるシーンもありましたし、6着とはいえ、勝ち馬からは0.3秒差。着順ほどは負けていません。
この毎日王冠を度外視すると、昨秋のマカヒキはトップオブトップには負けたが、それ以下には負けなかったということになります。従来の期待が高い分、そうは見えないかもしれませんが、本来は安定して力を発揮できるタイプですし、昨秋の時点で十分に能力は発揮されていたのではないでしょうか」(競馬ライター)
仮にこの説が正しいとするなら、今回の札幌記念の焦点は「出走馬の中で誰が、昨秋の天皇賞・秋やジャパンCでマカヒキの前を走れていたのか」という点になってくる。