JRA松田国英厩舎「最後の大物」降臨か……良血馬を千切り捨てた「サトノの切り札」に期待大
1950年生まれ、今年68歳を迎える松田国英調教師は、JRAが規定する調教師の定年引退まであと2年。長い間、競馬ファンからは通称 「マツクニ」先生と呼ばれ親しまれていた。無論、言わずと知れた名伯楽であり、ダービー2勝トレーナーだ。
師の偉業は、ダービー2勝だけに留まらない。過去の管理馬には、ゴールドティアラ、フサイチエアデールから始まり、サトノウィザードの母ブロードアピール、ブルードメアサイアー(母父)で大活躍中のダート最強馬クロフネ、ダービー馬タニノギムレット、フサイチリシャールやダノンシャンティ、ベルシャザール。そして、ウオッカとの死闘を繰り広げ、史上最強の逃げ馬とも誉れ高いダイワスカーレット。そして現在、ディープインパクと負けず劣らずの大種牡馬キングカメハメハなど・・・現在、期待される産駒を輩出する繁殖牝馬や種牡馬リーディング上位に関わる馬たちの名前がずらりと並ぶ。
しかし、ここ数年、松田国英厩舎からはホープフルSの勝ち馬タイムフライヤーこそ送り出したものの、一時の栄光とは程遠く、G1級の活躍馬が同厩舎から出てこないのは寂しい限りである。
そんな状況の松田国英厩舎は、10月14日の京都5R・芝2,000m新馬戦にサトノウィザード(2歳牡 栗東・松田国英厩舎)を送り込んだ。
同レースの条件に出走したい馬も多々いたのだろうが、サークル内でも前評判の高い、ダービー馬ワグネリアンの全弟、M.デムーロ騎乗のカントル(2歳牡 栗東・藤原英昭厩舎)と、ブロードストリートの息子であるC.ルメール騎乗のサトノウィザードの出走もあってか、寂しい8頭立てでのレースとなった。事実上、一騎打ちの新馬戦の様相を呈した。
さてレースは、M.デムーロ騎乗のカントルがハナを切って先手をとった。C.ルメール騎手とサトノウィザードは団子状の馬群の後方7番手に控えてのスタートとなった。逃げをうったM.デムーロ騎手は直線に入り、後続を引き離しにかかろうとする。が、やはり、大外からC.ルメール騎手の気合を受けたサトノウィザードが迫ってきた。直線半ばを過ぎ、M.デムーロ騎手の鞭に必死に応えるカントルに並ぶ間も無く、C.ルメール騎手の手綱のゴーサインだけで、サトノウィザードは上がり3F 33.3秒と最速の脚を繰り出して勝利。2着カントルと3着馬の差は5馬身。普通なら新馬勝ちとなっていたであろうカントルだが、サトノウィザードと同じ新馬戦だったのが不運に思えてくる。ダービー馬ワグネリアンの全弟を相手にしても、明らかに絶対能力の違いを見せたサトノウィザードは着差以上に強い内容だった。