その記録は「ギネス級」!? 函館記念に出走する「世界を股に掛ける名馬」ならぬ「世界に股を掛けられた迷馬」とは
無論、オーナーの島川隆哉氏の意向もあるだろうが、冒頭でも触れた通り6冠馬ブエナビスタの弟として、産まれながらに歴史に名を残すことが宿命付けられていたトーセンレーヴ。その期待は生半可なものではなく、わずかでも上位を求め続けた結果が世界の名手の数珠つなぎだったのだろう。まさに「外国人騎手崇拝の結晶」のような戦績である。
トーセンレーヴの過度な期待は、三冠馬オルフェーヴルを手掛けた、いや、まさに同時期に手掛けていた池江泰寿調教師ほどの大物でさえ”迷走”してしまうほどのプレッシャーだったに違いない。
実際にトーセンレーヴは8歳になった今年、今回の函館記念で初めて2000mの重賞に挑戦するが、3歳春のプリンシパルS(OP)勝ち、さらには3歳秋のアイルランドT(OP)勝ちなど早くから抜群の2000m適性を示していた。
ましてや、今や「4戦4勝の勝率100%」の戦績を誇っているにもかかわらず、8歳にして初めての2000mの重賞挑戦である。これが迷走でなければ何なのか……。
今週の函館記念の結果はまだ出ていないが、キャリア全8勝中4勝が2000m、3勝が1800mということを鑑みても、8歳にしてトーセンレーヴは、ようやくベストディスタンスを見出すことができるのかもしれない。
少なくとも、もしも函館記念をトップハンデで勝つようなことがあれば「これまで何をしていたのか」という話にはなるだろう。
だが、仮に函館記念を勝ち「ホワイト騎手こそがベストパートナー」と証明されても、短期免許で8月の半ばには香港に帰ってしまう。トーセンレーヴの世界を股に掛けたベストパートナー探しの苦難は、まだまだ続きそうである。