岩手競馬「廃止危機」度重なる「薬物休止」で赤字寸前……「330億円融資」経緯が……
負の連鎖が止まらない。
25日、岩手競馬に出走した競走馬から禁止薬物が検出されたと「岩手日報」が報じた。
記事よれば、検出は今季5頭目。今回発覚したのは、12月半ば以降のレースに出走した馬とのこと。そしてこれまで検出された4頭は水沢競馬場の厩舎に所属する競走馬だったが、今回ははじめて盛岡競馬場に所属する競走馬だったという。この一件を受けて、岩手競馬は今季3度目となる開催休止もありうると伝えている。
夏以降、複数回競走馬から禁止薬物が検出されていた岩手競馬は、9月と11月のあわせて7日間、すべてのレースの中止を決定。11月の再開後は監視カメラの設置、さらに警備員の24時間配置を行うなど警備を強化して再発防止に注力していた。
「岩手競馬はさらに2度目の休止後、再発防止のため、自厩舎関係者以外の立入禁止の徹底、さらに出走予定馬全頭に係る禁止薬物の事前検査を実施なども行っていくと発表していました。ですが、競馬組合は水沢競馬場にのみに原因があると考えていたのか、そこの在厩馬にしか禁止薬物の事前検査を実施していませんでした。これには『盛岡はしなくていいのか』との批判の声も上がっていましたが、今回はその不安が的中する形になってしまいましたね」(競馬記者)
今季3度目の中止となる可能性が高い岩手競馬。このままでは廃止の恐れすらあるという。
「ネットで馬券が購入できるようになったこともあり、盛り上がりを見せつつある地方競馬ですが、一昔は経営難に陥っており、存亡の危機に直面していました。そのときに県は岩手組合に約330億円も融資しており、それ以後事業を継続する条件が単年度収支を黒字にすることだったといいます。『単年度赤字に陥れば競馬事業を廃止する可能性がある』と達増拓也県知事も認識を示しています。
2度の開催中止がありましたが、このままいけばなんとか赤字も回避できる見込みだったそうです。しかし、このタイミングでまたしても中止となれば相当な痛手。今後が危ぶまれます」(競馬誌ライター)
長きに渡る低迷期をしのぎ、復権の兆しが見えていた岩手競馬。関係者たちがつないできたその火が今、絶たれようとしている。