武豊の「背中」押した蛯名正義!? オジュウチョウサン有馬記念の裏に「同期の絆」オーナー評価はダダ下がり
5日、中山競馬場で東京競馬記者クラブ賞の授賞式が行われ、2年連続でオジュウチョウサン(牡8歳、美浦・和田正一郎厩舎)が特別賞を受賞した。今回の受賞は、ファン投票で優先出走権を獲得した有馬記念に出走したことも大きかっただろう。8日にはJRA賞最優秀障害馬も受賞した。
馬主の強い意向を受ける形で、夏に有馬記念を目標に平地に転向した最強ハードラー・オジュウチョウサン。当初こそ冷たい視線を浴びせられていたものの、それを物ともせずに武豊騎手を背に条件戦を勝ち上がり、昨年の12月23日に有馬記念で大願成就。結果こそ9着に終わったものの、その挑戦は多くのファンの感動を呼んだ。
有馬記念で武豊騎手にはオジュウチョウサン陣営はもとより、クリンチャー、マカヒキらの陣営からも誘いがあったという。それを断ってまでオジュウチョウサンに騎乗した理由について、武豊騎手は自身のHPで『今回だけはファン投票3位の重みを大事にさせてもらいました』と綴っている。
馬主のラブコールやファンからの後押しで実現した、武豊騎手のオジュウチョウサンでの有馬記念挑戦。だが、それのほかにライバルからのアドバイスもその実現に一役買っていたそうだ。戦前、武豊騎手は蛯名正義騎手から『今年はこの馬に乗る年だよ。とにかく、日本の競馬はお前が話題の中心にいないと駄目なんだ』と言われたと、「週刊Gallop」が伝えている。
「平成最後の有馬記念は間違いなく武豊騎手とオジュウチョウサンが主役でした。ですが当初、武豊騎手はオジュウチョウサンの有馬記念挑戦に『いくらなんでもG1は無理。乗ることはないと思う』と消極的だったそうです。
それを翻意したのはファン投票3位という結果も大きな要因ですが、その裏には同期であり、長きに渡り鎬を削った蛯名騎手の言葉もあったようですね。ファンの声に応えるべく決断した武豊騎手、そしてそれを後押しした蛯名騎手。競馬界を盛り上げるために、ベテランたちが”誰がなにをすべきなのか”を考え、実行した結果、平成最後の有馬記念はこれほどの注目度を集めることになったのではないでしょうか」(競馬記者)