JRA武豊、L.デットーリ&R.ムーア“共同戦線”に大興奮!? 「初めてだから楽しみ」A.オブライエン厩舎が世界から称賛された5年前の衝撃

「参加するのは初めてだから楽しみですよ」

『スポニチ』のインタビューにそう抱負を語った武豊騎手は10月3日、パリロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(G1)へ愛国馬のブルームで参戦する。「初めて」とは無論、凱旋門賞の騎乗ではなく、世界的成功を収めるA.オブライエン厩舎のミーティングだ。

 武豊騎手にとって、強く印象に残っているであろうレースが2016年の凱旋門賞だ。この年、残念ながら凱旋門賞の騎乗馬がなく、レース中継を行ったグリーンチャンネルの解説を通じて日本競馬を応援していた。

「道中は中団、そして馬群の中からスルスルと伸びて、早め先頭で押し切りました――」

 レースは、日本のダービー馬として期待されたマカヒキが大敗した一方、ファウンド、ハイランドリール、オーダーオブセントジョージを送り込んだオブライエン厩舎がワン・ツー・スリーを達成。世界の強豪を押し退け、凱旋門賞を一色に染めた衝撃的な結末だった。

 そしてレース後、武豊騎手がすぐに指摘したのが、オブライエン厩舎の3頭による「チームプレー」だった。

 当時の実況にもあった通り、勝ったファウンドは、中団のインから最後の直線で難なく前方が開けての快勝。距離ロスがない分、最後は前を行く馬たちが壁になり、包まれる危険性があるという競馬のセオリーを無視した“反則”のような勝利だった。

 しかし、これこそがオブライエン厩舎の狙いだったのは明白だ。何故なら、ファウンドの前を走っていたのはハイランドリール、オーダーオブセントジョージというオブライエン勢だったからだ。

 前を行く2頭がファウンドの進路を確保することで、最内というハイリスク・ハイリターンのリスクだけを排除できれば、この年だけで5戦連続G1連対を果たしていた世界女王が突き抜けるのも当然か。

 日本競馬では認められていない複数頭によるチームプレーだが、欧州では逆に各方面から「見事な連係プレー」と賞賛を集めたことは、多くのファンが記憶しているところだろう。勝ち時計は凱旋門賞レコードを更新していた。

 あれから5年。武豊騎手は9度目の挑戦にして初めて「チーム・オブライエン」として凱旋門賞へ挑む。

 チームメイトは昨年の英オークス馬ラヴに、今年の英オークスで16馬身差という“衝撃”を残したディープインパクト産駒のスノーフォール。鞍上がL.デットーリ騎手とR.ムーア騎手とくれば、武豊騎手でなくとも興奮するだろう。

 残念ながら、武豊騎手のブルームが3頭の中で最も格下であることは否めない。場合によっては、最後の直線でラヴやスノーフォールに進路を譲るシーンがあるかもしれない。だが、相棒の手応えが残っている限り、最後の最後まで1着を狙ってほしい。日本で応援する多くのファンがそう願っているはずだ。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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