C.デムーロ、D.レーン襲来で勢力図に異変…被害直撃で圏外に追いやられた騎手の惨状

 先月29日からC.デムーロ、T.マーカンド、H.ドイルら外国人騎手が短期免許で騎乗している日本競馬。これに加えて12日からR.ムーアやD.レーンも来日し、久しぶりに国際色豊かな騎手たちが、レースに花を添えている。

 海外でもトップクラスの腕前を持つジョッキーたちだけに、秋のG1開催でもその存在感を遺憾なく発揮した。

 天皇賞・秋(G1)こそJRA所属のC.ルメール騎手がイクイノックスで勝利を挙げたものの、13日のエリザベス女王杯(G1)でC.デムーロ騎手が早速勝利。翌週のマイルCS(G1)でもレーン騎手がセリフォスで制して続けざまに2連勝を挙げている。

 今週末に行われるジャパンC(G1)でも上位人気が想定されるシャフリヤール(C.デムーロ)、ヴェラアズール(ムーア)、ヴェルトライゼンデ(レーン)、デアリングタクト(マーカンド)らが控えており、3連勝があっても不思議ではない状況。ジャパンCは国際競走ということもあり、日本馬以外にも外国馬4頭の背中には外国人騎手が騎乗を予定しているため、JRA所属の騎手にとっても意地を見せたいところである。

川田将雅騎手 撮影:Ruriko.I

 中でも最もこの一戦に力が入るのは、ダノンベルーガ(牡3、美浦・堀宣行厩舎)に騎乗する川田将雅騎手だろう。

 報奨金の懸かるシャフリヤール陣営の本気度の高さも注目を集めているが、前走の天皇賞・秋で同馬に先着したのがダノンベルーガだ。3着に敗れたとはいえ、5着のシャフリヤールに2馬身半の差をつけての先着。ライバルが海外遠征からの国内復帰戦だったことを考慮しても、こちらも春の日本ダービー(G1)からの休み明けなら調整の難しさに大きな差はなかったはずだ。

 マイルCSのダノンスコーピオンでは11着に大敗したものの、ダノックスの主戦である川田騎手としても結果を求められる大一番となる。

 ただ、肝心の川田騎手が外国人騎手を前に苦戦を強いられている現実は否定できない。

被害直撃で圏外に追いやられた騎手の惨状

 現在、騎手リーディングでトップを独走しているが、外国人騎手の来日と同時に成績は急降下。レーン騎手とムーア騎手が合流した11月12日以降の期間に限定したリーディングでは、トップテンから圏外の21位に低迷した。この背景には、ノーザンファーム系列の有力馬がライバル外国人騎手の騎乗馬に流れた影響も大きい。

 実際、12日から20日の4日間で騎乗した19レース中7レースで外国人騎手に勝利をさらわれ、ダノンザタイガーとコンビを組んだ東京スポーツ杯2歳S(G2)で三浦皇成騎手が騎乗したガストリックの2着に敗れた。

 単純に外国人騎手による馬質低下の直撃といえるものなら、やむを得ない部分もあるのだが、1番人気7頭、2~4番人気が9頭、5番人気2頭、6番人気1頭と、それを言い訳にできないラインアップだったことも確か。見方によっては格の違いを見せつけられたという厳しい声が出ても仕方がない。

 また、これは川田騎手以外のリーディング上位騎手も例外ではない。

 戸崎圭太騎手や松山弘平騎手、岩田望来騎手は、現状維持に成功した一方で、横山武史騎手や福永祐一騎手、坂井瑠星騎手は圏外に転落。ルメール騎手にしても辛うじて踏みとどまっている程度だ。

 これに対し、C.デムーロ騎手やムーア騎手、マーカンド騎手、レーン騎手は揃ってトップテン入りの大活躍。まだ4日間の短い集計ではあるが、彼らが日本にいる間は、JRA所属の騎手の苦戦が続くかもしれない。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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