JRA関東・新人騎手の「悲惨すぎる」現状……「騎乗停止」「落馬事故」「距離誤認」アクシデント連鎖の”背景”に関東競馬界の土壌
2着1回、4着1回と最も気を吐いている菅原騎手でさえ、最高は7番人気。小林、大塚騎手は前者が最高9番人気、後者が同10番人気という恵まれなさ……両騎手とも、これまで掲示板(5着以内)にさえ載ったことがないが、それも仕方がないといえる状況だ。
「菅原騎手は、その7番人気で2着しているわけですから武藤騎手の言う通り、腕は決して悪くないはずなんです。それは小林騎手、大塚騎手も同様で『チャンスのある馬に乗れれば……』といった状況が続いています。
先週、小林騎手は新人第1号の騎乗停止処分を受けましたが、それも関係者から言わせれば『気の毒』とのこと。下級条件でまったく人気にならない馬は、口向きや気性の悪い馬が多く、新人には御すのは難しく、小林騎手の騎乗停止も仕方のない部分があったそうです。いきなり不名誉な形で名前が出ることになりましたが、腐らずに頑張ってほしいですね」(同)
記者曰く、さらに”悲惨”なのが大塚騎手だという。
「今月、北村宏司騎手が落馬負傷してC.ルメール騎手が騎乗停止になったレースは、関係者だけでなく、ファンの間でも大きな物議を醸しましたが、それが大塚騎手のデビュー戦。それも騎乗馬を御しきれずに事故の要因の一端を作ってしまうという、あまりにもショッキングなデビュー戦でした。ただ、その後はちゃんと乗れていますし、小林騎手同様に頑張ってほしいですね」(同)
東西新人騎手の馬質も然ることながら、騎乗回数にしても関西の斎藤騎手が32回、岩田騎手が27回であることに対して、関東は菅原騎手の18回が最高。大塚騎手が13回、小林騎手が12回とチャンスの数すら限られている状況だ。まだまだ「乗ってなんぼ」の新人騎手だけに、この差も大きい。
「関東では昨年も唯一の新人だった山田敬士騎手がレースの距離を誤認して、長期の騎乗停止となる前代未聞の事案がありました。ただ、その背景には最近の新人にチャンスを与えて、育てることができていない関東の現状があると思います」(別の記者)
関東では2年前にデビューした武藤騎手や横山武史騎手、3年前にデビューした藤田菜七子騎手などが、すでに多くのチャンスを掴み順調に成長している。だが、そういった少し上の世代の若手騎手が活躍している”しわ寄せ”が、ここ2年の新人騎手に来ているのかもしれない。