JRA角居勝彦調教師「日本ダービー制覇」も笑顔なし……「天理教引退」「酒気帯び運転」苦難を乗り越えた”複雑すぎる勝利”の背景
さしもの名伯楽も、複雑な表情を隠せなかったようだ。
12番人気の伏兵ロジャーバローズが逃げ切り、大波乱に終わった今年の日本ダービー(G1)。管理する角居勝彦調教師にとっては今年4月に早世したウオッカ以来のダービー制覇となるが、そこに笑顔はなかった。
「勝ってうれしいのと、悲しいのがありました。1番人気を背負った馬が負けてしまったので……」
勝負事である以上「明暗」は常に付きまとうが、日本屈指の名調教師にとって今年の日本ダービーはあまりにも複雑すぎた。
「思いがけない決着となったことで、レース後の東京競馬場はちょっと異様な雰囲気でしたね。ダービージョッキーになった浜中騎手も満面の笑みというよりは、いきなり起こった快挙を受け止めきれず、どちらかといえば茫然といった様子。
角居調教師に至っては、もう”お通夜”といった感じ……とても勝利者とは思えないほど終始厳しい表情でした。
もう1頭の管理馬サートゥルナーリアが単勝1.6倍で馬券圏外(4着)まで飛んだことで、ダービーを勝った事実よりも、むしろ圧倒的な1番人気で負けてしまったショックの方が大きかったのかもしれません」(競馬記者)
それもそのはず。今年の日本ダービーは単勝1.6倍という最終オッズが示す通り、サートゥルナーリア一色ムードだった。「近代競馬の結晶」と謳われたディープインパクト以来となる無敗の皐月賞馬であり、ダービー後には日本を代表して凱旋門賞(仏G1)に挑戦プするランもあった。
レースが近づくにつれ、次第に熱を帯びてくる報道の数々……「最強馬の誕生」を期待するファンやメディアにとって、今年のダービーは世界に打って出るサートゥルナーリアの”壮行会”と述べても過言ではなかったはずだ。
だからこそ逆に角居調教師ら陣営にとっては日々、そういった重圧との闘いだったに違いない。