JRA角居勝彦調教師「日本ダービー制覇」も笑顔なし……「天理教引退」「酒気帯び運転」苦難を乗り越えた”複雑すぎる勝利”の背景
「競馬には昔から『2頭出しの厩舎は人気薄を狙え』という格言のようなものがありますが、角居厩舎の報道はとにかくサートゥルナーリアに集中し、ロジャーバローズはレース前から”蚊帳の外”といった感じ……人気薄どころか、ほとんど無視されているような状況でした。
中にはレース後、『ロジャーバローズも(サートゥルナーリアと同じ)角居厩舎だったのか』という声もあったほど。ロジャーバローズの仕上げに抜かりがなかったことは結果を見れば明らかですが、大量の取材に対応した角居調教師の意識が、サートゥルナーリアに向くのは仕方ないことだと思いますね」(別の記者)
そういった事情もあってか最後の直線でも、角居調教師の視線は伸びあぐねるサートゥルナーリアに注がれていたようだ。レースが終わった直後は、管理馬が優勝したにもかかわらず「ちょっとよく分からなかった」と、自厩舎の勝利を確信するのに時間が掛かったほどだ。
「……複雑です」
単勝1倍台に推された「1強」が日本ダービーで馬券圏内を確保できなかったのは、2007年のフサイチホウオー以来。その時の勝ち馬が角居厩舎のウオッカだったのだから、運命とはなんとも皮肉なものだ。
すでに母の天理教を引き継ぐ理由で2021年2月の引退が決まっている角居調教師。限られた時間の中、2度目となるダービー制覇は昨年7月の酒気帯び運転による半年間の調教停止処分を乗り越えての勝利だったが、手放しでは喜べない結果となったようだ。