【夏季特別企画】史上最強世代・最後の一冠『菊花賞の行方を占う』Vol.9「これで皐月賞10着馬……札幌2600mでまたも5馬身差の圧勝劇!ますます混沌を極める『淀』への道」


 例えば、昨年の札幌日経オープン(札幌2600m)で約5年3カ月ぶりの劇的な復活勝利を飾ったペルーサだが、58㎏を背負いながら札幌2600mを逃げ切ったからといって、決してステイヤーというわけではない。無論、まったくスタミナがないとは述べるつもりはないが、翌年のダイヤモンドS(G3)では大バテして、最下位に敗れている。

 札幌2600mコースはコーナーが6回も続きながらも直線が短く、なかなか道中のスピードが上がらないようなコース形態になっている。かつて長距離の名手だった岡部幸雄の言葉を借りるなら「ごまかしの利くコース」ということになる。

 2500mの有馬記念(G1)でダイワメジャーやオーシャンブルー、アメリカンボス、サクラチトセオーなど、しばしば高いマイル実績を持つ馬が好走することがあるが、あれと同じ理屈で、札幌2600mも折り合いの上手さと高い操縦性があれば、スタミナの不利を埋められるとうことである。

 話を戻すが、以上のことからカフジプリンスは一定のステイヤーの資質がありながらも「ごまかしの利く」通常の札幌2600mで強い競馬をした馬ということになる。

 しかし、今年の札幌日刊スポーツ杯のように重い馬場状態になれば、よりスタミナが問われるレースとなり、それを圧勝したウムブルフは、カフジプリンスよりもさらにスタミナに優れた馬という位置づけができる。

 だが、ここで問題なのは必ずしも「スタミナに最も優れた馬」が菊花賞馬になるとは限らないということだ。

 いや、むしろ最近の菊花賞はスタミナ一辺倒ではなく、中距離にも対応し得るスピード能力も重要な要素となっている。昨年の菊花賞馬キタサンブラックなどは、その典型といえるだろう。

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