JRA「オルフェ産大物」モーベットが新潟2歳S(G3)大本命? 母アイムユアーズの血目覚める?
8月25日、新潟2歳Sが行われる。1番人気になるであろうモーベット(牝2歳、美浦・藤沢和雄厩舎)について検討しよう。ここを快勝して、来春の3歳牝馬クラシックにおける中心的存在になれるのだろうか。
モーベットは6月、東京の新馬戦(芝1600メートル)に出走、単勝1.8倍という1番人気で優勝した。レースでは出遅れ、鞍上のC.ルメール騎手は慌てずに最後方から追走。直線に向くと鋭い伸び脚を見せて、馬なりのまま全馬を交わした。出遅れが逆に同馬の強さを際立たせたと言っていい。
レース後、ルメール騎手は「スタートは良くありませんでしたが、7頭立てでしたからまだ良かったです。最初は物見をしていましたが、次第に流れに乗れました。最後はいい脚で伸びてくれました」と素質を高く評価し、藤沢和雄調教師は「この後は休ませて、秋の東京を使う予定です」と語っていた。
ところが、モーベットは藤沢調教師の言葉とは裏腹に新潟2歳Sを使ってくる。この辺りの事情はどうなっているのだろうか。
「今年の新潟2歳Sはモーベットに限らずペールエール、ウーマンズハートなどの素質馬が揃いました。これは各陣営の新潟2歳Sに対する見方が変わってきたからです。新潟2歳Sが行われる当日、札幌では一流ジョッキーが集うワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)が開催されます。このため有力2歳馬を一流騎手の騎乗で出走させたい陣営にとって新潟2歳Sは選択しづらいレースだったのです。
しかし、昨年の新潟2歳Sの勝ち馬ケイデンスコールは今年のNHKマイルC(G1、芝1600メートル)で2着になります。これで各陣営の方針も変わってきたのではないでしょうか。弱い相手と戦って確実に賞金加算できるのであれば、その後のローテーションが有利になります。一時、出世レースから外れかけた新潟2歳Sですが、再び注目度が高まってきたと言えます。
新馬戦楽勝後、秋の東京を目指すとしていた藤沢調教師が方向転換してモーベットを新潟2歳Sに出走させる理由はここにあると思います。ルメール騎手はWASJに参加するので乗れませんが、幸いにも福永祐一騎手を確保できました。これも陣営を後押ししたことでしょう」(競馬ライター)
モーベットは新馬戦で強い勝ち方をしたとはいえ1戦1勝の身であることに変わりはない。他の登録馬と一線を画する違いがあるのだろうか。
「やはり血統です。父はオルフェーヴル。クラシック3冠を制し、凱旋門賞(G1、芝2400メートル)では2年連続で2着になっています。種牡馬としては初年度産駒から阪神JF(G1、芝1600メートル)のラッキーライラック、皐月賞(G1、芝2000メートル)のエポカドーロを出していますが、産駒はコンスタントに走るわけではなくまさに一発屋です。オルフェーヴル産駒は新馬戦を勝つのも苦手ですから、新馬戦を楽勝したモーベットに大きな期待がかかるのは当然です。
重賞を4勝した母アイムユアーズも魅力です。2歳時にファンタジーS(G3、芝1400メートル)を優勝すると阪神JFでは2着に好走しています。3歳時はフィリーズR(G2、芝1400メートル)を優勝、桜花賞(G1、芝1600メートル)で3着、オークス(G1、芝2400メートル)で4着と好走しました。
アイムユアーズはG1タイトルを獲得できなかったものの近年の名品と言っていいでしょう。アイムユアーズとオルフェーヴルから生まれたモーベットは順調に成長すれば、来年の桜花賞、オークスでの活躍が期待されます」(同)
もうすぐ開幕する今年の秋競馬も楽しみだが、2歳戦線では来年のクラシックに向けた熾烈な戦いが始まってきた。新潟2歳Sで最も将来的な可能性を期待したくなるモーベット。3歳牝馬クラシックに向けて順調なスタートを切ってほしい。