「母国の震災」と「父の死」M.デムーロと武豊「悲しみを力」に……今年のワールドオールスタージョッキーズは伊・日が誇る「真のプロフェッショナル」による共演


 また、総合第2位は昨年に引き続き武豊騎手。4戦中3度も2着に入る抜群の手綱さばきで着実にポイントを稼いだが、優勝には一歩及ばなかった。

 4年ぶりとなる騎乗停止中に、父・邦彦さんが亡くなるという不幸があった武豊騎手。しかし、22日にばんえい競馬のトークショーに参加し、翌日には自らの公式サイトを更新。「さあ、張り切っていきますよ!」と綴ったように、復帰してさっそくその手腕を見せつけた。

 しかし、本人にしてみれば2年連続総合2位という悔しい結果。1度でも勝てていれば逆転優勝もあっただけに「2年連続して1勝もせずに2位、という複雑な気持ちです」と悔しさを露わにしていた。

 さらに「優勝を狙っていましたが、1人空気読めないのがいて……(笑)」と早くも”武豊節”が炸裂。

 これは昨年12月の朝日杯FS(G1)で「JRAのG1完全制覇」の偉業が懸かった武豊騎手(エアスピネル)をゴール寸前で捕らえたM.デムーロ騎手(リオンディーズ)に対して「空気の読めないイタリア人がいたもんで……」と笑いを誘ったのが始まり。

 武豊騎手にしてみれば、またもM.デムーロ騎手にやられてしまった格好だ。これにはM.デムーロ騎手も「ユタカさんに追いつかれるかと思って怖かったです」と反撃。互いをリスペクトしあう二人の関係が表れた一幕だった。

 それにしてもこの2人、M.デムーロ騎手は母国が約300名の死者が出るほどの大地震に見舞われた直後で、一方の武豊騎手も実父を失うという「大きな悲しみ」があった直後。

 こういった時「各々ができることを、しっかりするということが大切だ」と常々いわれているが、今回の2人はまさにそれを実践した。真のプロフェッショナルであり、その精神力の強さにはただただ敬意を払う他ない。

 今年のワールドオールスタージョッキーズは、悲しみを力に変えたトップジョッキー2人の競演で幕を閉じた。来年はどんな熱いドラマが待っているのだろうか、今から待ち切れない思いだ。

関連記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 23:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS