JRA浜中俊「逆襲」ルメール犠牲者もイベリスでスプリンターズS(G1)を揺るがす?
今週、もっとも逆襲に燃える男かもしれない。
29日のスプリンターズS(G1)に、イベリス(牝3 栗東・角田晃一厩舎)が出走する。ここまでスプリント~マイルで8戦し3勝、堅実さが売りの逃げ・先行馬だ。
春のアーリントンC(G3)ではマイペースの逃げ粘りで12番人気を覆し重賞初制覇、続くNHKマイルC(G1)でも果敢に逃げたが、ハイペースとなり脱落し16着と大敗。この時点では「地味な重賞ホース」という扱いでしかなかった。
だが、秋初戦となったセントウルS(G2)で、この馬の注目度は一気に向上したといえる。古馬の強豪が集ったこの前哨戦で、3着に食い込んだ。そもそもデキのよさ、阪神開催初週の高速馬場を評価されて3番人気には推されていたが、期待に応える走りを見せたといえる。
勝ち馬タワーオブロンドンには力の違いを見せつけられたが、和田竜二騎手が完璧な騎乗をしたファンタジストには半馬身差。ダイメイプリンセスやミスターメロディに先着した事実からも、古馬とも十分やれる能力を秘めている。
スプリントということで、逃げではなく道中4番手でレースをしたが、対応もスムーズだった。陣営が取材にセントウルS前に「ハナにはこだわりません。ゲートが特別速いわけではないし、まして今回のように相手が強くなるとほかにもっと速い馬がいるはず。それよりもハナに行けない時でも能力を出し切れるように調教しています」と語っていたが、してやったりな部分もあるだろう。
「スプリンターズSでは、中山短距離を大得意とするモズスーパーフレアも逃げ馬。イベリスを管理する角田調教師は『よほど他が出遅れたりしない限りは、ハナはないと思う』と『スポーツ報知』で語っているように、今回も番手の競馬を狙いそうです。
自在性は前走で証明しましたから、楽しみですね。姉のベルカントも重賞5勝ですが、それ以上の活躍を見込める素質はあります」
そして、このレースに燃えるのは陣営と馬だけではない。「たらい回し」を喰らった鞍上浜中俊騎手も、燃えているはずだ。
浜中騎手はもともとタワーオブロンドンに騎乗予定だった。それは、同馬の主戦C.ルメール騎手にグランアレグリアの先約があったからである。
しかし、同馬は先週左前脚の蹄炎症により回避を発表。一転ルメール騎手はタワーオブロンドンの騎乗が決まり、浜中騎手はお払い箱に。その後、イベリスへの騎乗が決まった。