JRA「川田将雅VSルメール」頂上決戦! スプリンターズSのダノン&タワー「2強」を徹底比較!
■血統
ダノンスマッシュの父親はこのレースの覇者であるだけでなく、世界の短距離王ロードカナロア。父の産駒はアーモンドアイやサートゥルナーリアがそうであるように、1200~2400mに幅広く適性を持っているが、芝1200mは今年56勝、重賞4勝を挙げてしっかり結果を残している。このスプリンターズSでは同馬を含めイベリス、ファンタジストと合計3頭の産駒が出走しており最多だ。また牝系を見ると、母父ハードスパン産駒は日本で8勝しているが、勝ち星はすべて1400m以下で1200mは6勝と短距離向きの傾向。1200mはベストの条件といって間違いない。
タワーオブロンドンはアメリカの種牡馬Raven’s Pass(レイヴンパス)産駒。ミスタープロスペクター系の種牡馬であり、12戦6勝で2つのG1を含む重賞4勝、アメリカのブリーダーズCクラシック、イギリスでクイーンエリザベス2世Sなどを勝利している。日本で産駒は少なく、タワーオブロンドンが初めての活躍馬といっていい。母スノーパインは凱旋門賞を勝ったダラカニ産駒。両親の血統的から2000m前後の中~長距離向きで、単距離向きの血統とはいいがたい。同馬のパフォーマンスは明らかに1200~1400mがベストの印象だが、今回の条件においてはダノンスマッシュが一歩リードといっていいだろう。
○ダノンスマッシュ
×タワーオブロンドン
■状態
ダノンスマッシュの最終追い切りは川田騎手を背に栗東坂路を単走。馬なりで52.3-37.3-12.0と上々の時計。一週前に強めの追い切りを行っており、この馬なり調整は予定通り。川田騎手のコメントからも寸分狂わず仕上がったとみていい。
中2週で疲れが懸念されるタワーオブロンドンは、ルメールではなく北村宏司騎手が騎乗し、新装された南ウッドで馬なり68.1-53.5-39.5-12.1の内容。すべて馬なりながら中間5本の追い切りを行っており、見た目に疲れは感じられない。
調教内容を見ると、ローテーションにゆとりがあり、しっかり追い切ってきたダノンスマッシュが上。だが、タワーオブロンドンも名伯楽の藤沢調教師。中1週後の中2週でもしっかり状態を上げてきた。大きな差はないが、あえて順位を付けるならやはりダノンスマッシュだろう。
○ダノンスマッシュ
×タワーオブロンドン
■枠順と脚質と展開
ダノンスマッシュは1枠2番に入った。この枠は過去10年で1勝。とはいえ、このレースは4回中山開催に移行した2001年以来、4~8枠の馬ばかりが勝利しており、1枠の馬はわずか1勝と内枠は厳しい傾向にある。内枠の馬はスタートと位置取りが重要なので、スタートを決めて好位に付けるのが勝利の絶対条件となりそうだ。
タワーオブロンドンは4枠8番に入った。この枠は現在2年連続勝利、2001年以降5勝(新潟開催を除く)と結果を出している。同馬は上がり最速の豪脚を見せたキーンランドC、セントウルSの内容からも、中団より後ろから追い込む競馬になりそう。小回りで直線が短い中山では位置取り次第で致命的となるが、内枠を引いて前を行くダノンスマッシュをマークできるのだから、ベストの枠といっていいだろう。
絶対逃げ宣言のモズスーパーフレアがいることで、展開は早めに流れることが予想される。枠的にダノンスマッシュも前目に付けるだろうし、好枠を引いたタワーオブロンドンにはもってこいの展開となりそうだ。
×ダノンスマッシュ
○タワーオブロンドン
■結論
以上の要素を踏まえて比較すると以下のようになる。
ダノンスマッシュ
×○×○○○×
タワーオブロンドン
○×○×××○
僅差ではあるが、令和初のスプリンターズSで勝利に最も近いのは「ダノンスマッシュ」となった。もちろんタワーオブロンドンにもチャンスはあり、雨の影響もなく時計の速い決着となった場合、前走でコースレコードを記録した豪脚で一気に差し切ることも考えられなくはない。それでも総合的にはダノンスマッシュが一歩リードしており、ぜひ新たな短距離王として、続く香港で父の名を轟かせる走りを見せてもらいたいものだ。