【凱旋門賞(G1)展望】女王エネイブルに「世界最強」包囲網!? 調教師フィエールマンら日本勢より6頭出しライバルに「危険な存在」
また、斤量的なアドバンテージがある3歳馬で、もう1頭注目を集めているのが、仏ダービー馬のソットサス(牡3歳、仏・JC.ルジェ厩舎)だ。
仏ダービー(G1)時点では5番人気の存在に過ぎなかったが、2馬身差のレコード勝ち。この走りにはエネイブルのゴスデン調教師も「今年の3歳馬のレースで最高のものだったと思う」と極めて高い評価を与えている。
その評価が間違いでなかったことを証明したのが、前走のニエル賞(G2)だ。最後の直線で行き場を失う苦しい展開だったが、ラスト100mを切ってから前が開くと、一瞬の脚で差し切ってしまった。ジャパンと並び、今年の3歳牡馬の中心的な存在である。
大物食いの強烈な雰囲気を漂わせているのが、世界最強軍団ゴドルフィンが送り出すガイヤース(牡4歳、英・C.アップルビー厩舎)だ。
ここまで7戦5勝3着2回。底が割れていない戦績も魅力だが、それ以上にガイヤースが凱旋門賞の有力候補に躍り出たのは、世界の度肝を抜いた前走のバーデン大賞(G1)だ。最後の直線で先頭に立ったガイヤースは、そのまま後続を一方的に突き放していく。ゴールした時には14馬身という大差がついていた。
この圧勝劇にアップルビー調教師は「モハメド殿下と凱旋門賞について話すことになる」と世界最高峰への参戦を表明。主戦のW.ビュイック騎手が、以前から「凱旋門賞馬になるだけのポテンシャルがある」と惚れ込んでいる大器が、いよいよベールを脱ぐか。
現地の下馬評では、これらに続く8、9番人気に日本のフィエールマンやブラストワンピースの名が並んでいる。前走のフォワ賞で惨敗し評価を落としたキセキは、穴馬の評価となるようだ。
もう1頭紹介しておきたい。異色のチェコ調教馬ナガノゴールド(牡5歳、捷・V.ルカ厩舎)だ。
これまで重賞勝ちこそないが、競馬後進国のチェコ調教馬ながら英国や仏国の重賞で馬券圏内に好走。異色の存在として、欧州のホースマンから注目を集めている。
そして、それ以上に注目したのが馬名の由来だ。ナガノゴールドは「長野金メダル」。長野五輪でチェコの男子アイスホッケー代表が、金メダルを獲得したことを記念して付けられたという。日本に由来があるだけに、日本の競馬ファンとしては応援したくなる存在だろう。
フィエールマン、ブラストワンピース、キセキは日本のG1なら人気を分け合うであろう3頭。しかし、今年も凱旋門賞には各国から世界トップレベルが集結し、高い壁となっているようだ。