JRA「激走娘」アエロリット大好物の「左」毎日王冠(G2)で逃げ切り十分な理由
毎年、天皇賞・秋(G1)やマイルCS(G1)など、中距離G1での勝利を目指す有力馬が集う毎日王冠(G2)。今年も日本ダービー2着のダノンキングリー、安田記念勝ち馬インディチャンプら一線級の馬が顔を揃えたが、ここでの好走が期待されるのがアエロリット(牝5歳、美浦・菊沢隆徳厩舎)だ。
アエロリットは昨年の毎日王冠覇者。だが続くマイルチャンピオンS(G1)では、2番人気に支持され、得意の逃げを打つも最後の直線で粘れず12着と大敗を喫した。さらに今年は、1着賞金300万ドル(約3億3000万円)を誇る「ペガサスワールドカップターフ」(米G1)から始動し、注目を集めたものの10頭立て9着に終わっていた。
それでも国内復帰戦となるヴィクトリアマイル(G1)で5着に入ると、安田記念(G1)でも果敢に逃げて2着。最後の直線でインディチャンプに交わされて敗れたものの、勝ち馬とはタイム差ナシのクビ差。さらに最強牝馬アーモンドアイに先着するなど、その実力をいかんなく発揮した。
「前走はさすがの強さでした。一昨年前の秋華賞(G1)や昨年のマイルCSなど、人気を集めてもあっさり負けることが多い同馬ですが、それは東京競馬場以外でのこと。今回の舞台でもある府中のワンターン競馬は8戦【3.3.0.2】と、掲示板を外したことがなく滅法強いです。昨年は逃げて後続を完封しましたが、昨年同様の結末が訪れても驚きはないですよ」(競馬記者)
アエロリットは予定していた田辺裕信騎手が騎乗停止処分を受けたため、津村明秀騎手が鞍上を務める予定。その津村騎手を背に南WCコースで行なった1週前追い切りでは、6F80秒9、ラスト12秒1を記録した。津村騎手は「諦めたら持っていかれそうなくらいのパワー」と苦笑しつつ、「力のある馬に乗せてもらえるので負けられない気持ちで臨みます」と期待を寄せる。
「アエロリットの陣営は『右回りと左回りとでは走りのパフォーマンスが違う』と明かし、あくまで『左回りにこだわる』ため、次走も天皇賞・秋(G1)を予定しているとのこと。同馬は16戦のキャリアがありますが、2000m戦は秋華賞の1戦のみ、しかも7着に終わっています。この距離は不安材料ですが、得意の舞台なので、なんとかこなしてくれると考えているのではないでしょうか?」(競馬誌ライター)
所有するサンデーレーシングの方針で、来年には引退することも決まっているアエロリット。繁殖牝馬としての価値を高めるためにもひとつでも多くG1勝利を積み重ねたいところ。そのためにも、その前哨戦に当たるここを勝ち、勢いに乗りたいのは当然だ。
府中巧者のアエロリットが、秋の本番に向けてはずみを付けることができるだろうか。