JRAキセキ「逃げの一手」から脚質転換も⁉ 凱旋門賞(G1)に勝機を見出せるか?

 

 日本時間10月6日(日)にパリ・ロンシャン競馬場で世界競馬の最高峰とも呼べるレース、凱旋門賞(G1)が開催される。

 日本からは昨年の有馬記念を制したブラストワンピース、今年の天皇賞(春)を制したフィエールマン、そして昨年から今年の春シーズンにかけてG1で好走を続けている一昨年の菊花賞馬キセキ(牡5 栗東・角居勝彦厩舎)の3頭が参戦する予定だ。

 ブラストワンピース、フィエールマンは8月の札幌記念を使って渡欧しているが、キセキは現地のレースを一叩きして凱旋門賞に向かうことになった。

 キセキがその前哨戦のレースとして選んだのが、凱旋門賞と同じコースを使うフォワ賞(G2)。鞍上は凱旋門賞でも実績のあるC.スミヨン騎手との初コンビで臨んだ。

 キセキは昨年秋の重賞から好成績を収めている逃げのレースを選択したが、最後の直線で粘り切れず4頭立ての3着と惨敗。スミヨン騎手は「ペースがとても遅くなってしまった。コンディションはよかったです」とコメントしているが、いずれにせよ日本のG1では通用した「逃げ」の一手が凱旋門賞のコースでは通用しなかったのは事実だ。

 そもそもキセキは最初から逃げ馬だったわけではない。ゲートの出が悪く、出遅れグセのある馬だったこともあって、後方や好位から差す競馬をしていた馬だ。実際、一昨年の500万下から菊花賞までの4戦はすべて出遅れて、後方からの競馬となったものの菊花賞の勝利を含む3勝2着1回と優秀な成績を残している。

 菊花賞後、香港への海外遠征を挟んで3戦連続で惨敗を喫している。この3戦のうち、日経賞(G2)は出遅れから先行策を使っての惨敗だったわけだが、このときのC.ルメールの騎乗がヒントになって秋の毎日王冠(G2)へとつながる。

 毎日王冠では前走の宝塚記念(G1)と打って変わって積極的に前へ行くレースを展開した。結果、逃げ粘って3着という結果を残し、このレース以降は積極的にハナを奪うレースをするようになる。

 逃げの競馬をするようになってからは天皇賞・秋(G1)で3着、ジャパンC(G1)2着、有馬記念(G1)こそ5着だったが、大阪杯(G1)と宝塚記念(G1)はいずれも2着と堅実な走りを見せてきた。それを踏まえてのフォワ賞だったわけだが、ここでは逃げが裏目に出てしまった。

 確かにキセキは昨年秋以降逃げで好成績を収めてはいるが「1勝もしていない」という事実もある。昨年秋に関しては、天皇賞のレイデオロやジャパンCのアーモンドアイ、有馬記念のブラストワンピースなど勝ち馬が強かったという事情があるかもしれない。

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