JRA菊花賞(G1)ニシノデイジー「ゴルフ場冠水」の悲劇……“優勝請負人”ルメールは「朗報」を届けられるか
今回は負けられない戦いになりそうだ。
20日に京都競馬場で行われる菊花賞(G1)。すべての3歳馬にとって、牡馬クラシックを争う最後の一冠。サートゥルナーリア、ロジャーバローズといった春のクラシックホースが不在ということもあって、どの馬にも勝ちたいレースであることは確かだ。
だが、様々な意味で、最も勝ちたいのは関東の刺客ニシノデイジー(牡3歳、美浦・高木登厩舎)ではないだろうか。
前走のセントライト記念(G2)では、勝浦正樹騎手が大外をぶん回しての5着。ロスの多いレースぶりに、脚を余してしまった決着にオーナーの西山茂行氏は苦渋の決断……デビュー戦から苦楽を共にしてきた主戦騎手を降板させ、オファーを掛けたのが“優勝請負人”C.ルメール騎手だった。
「勝浦騎手としても、ここ3年で最もG1勝ちの多いルメール騎手が乗るなら納得でしょうね。陣営にとっても思い切ったオファーだったと思いますし、勝負駆けのレースになると思います」(競馬記者)
陣営の思いは、1週前追い切りからヒシヒシと伝わってくる。美浦のウッドで追い切られたニシノデイジーは3頭併せ馬を敢行。2頭を追走する形で最後は併入だったが、5ハロン67.1秒、ラスト12.2秒の好時計を叩き出している。
この動きには高木登調教師も「久々に併せ馬で追ったが、我慢が利いていいリズム」と手応え。来週の最終追い切りにはルメール騎手が騎乗するようだ。
また、この中間、オーナーに思わぬアクシデントがあった。
「どうやら台風19号の影響で、西山オーナーが経営しているゴルフ場が冠水してしまったようです。ゴルフ場は当然、営業停止。西山オーナーのブログでは、沼と化したゴルフ場の前で厳しい表情を浮かべる姿と『長い戦いが始まりました』という言葉が綴られており、極めて深刻な様子が伝わってきます。
正直、競馬どころではないかもしれませんが、ニシノデイジー陣営としても朗報を届けたい思いは強いでしょう」(同)
これまで皐月賞、日本ダービーと敗れてきたニシノデイジーだが、母のニシノヒナギクから連想された「デイジー」は雛菊の意だ。オーナーの思いを乗せて走るのが、サラブレッド。咲かせるなら“菊”の大輪に違いない。