【夏季特別企画】史上最強世代・最後の一冠『菊花賞の行方を占う』Vol.10「野分特別を4馬身差圧勝!ノガロは『伝説の新馬戦』を演じた菊花賞馬の奇跡を再び起こせるか」
今週から秋競馬も開幕し【夏季特別企画】と銘打つのもぼちぼち苦しい時期だが、牡馬クラシック最後の一冠・菊花賞戦線にまたも「素質馬」が名乗りを上げたのだから、当然取り上げさせていただきたい。
10日、阪神で行なわれた野分特別(1000万下、芝1800m)をノガロ(栗東・音無厩舎)が快勝。古馬を相手に、4馬身差の圧勝劇を見せた。
この世代は、一体どれだけ層が厚いのか……。2度目の1000万下挑戦で勝ち上がりを決めたノガロだが、実は前走の古町特別(1000万下、新潟1600m)の3着も、決して「古馬」に屈したわけではない。
前を走っていたのは、ニュージーランドT(G2)やシンザン記念(G3)で4着の実績があるアストラエンブレムと好素質馬のサトノキングダムという同世代。ちなみに4着だったレインボーフラッグも毎日杯(G3)で4着の実績がある3歳馬だ。
ノガロにも若葉S(OP)ときさらぎ賞(G3)で4着というオープン実績があり、この古町特別は1着から4着までを3歳馬が独占している。3着馬ノガロが、次走で4馬身差を付けて快勝しているのだから、2着サトノキングダムや4着レインボーフラッグも1000万下は易々と突破できる実力の持ち主である可能性が高い。
ただ、4馬身差で圧勝した野分特別は、開幕週の馬場を上手く活かしたM.デムーロ騎手の好騎乗も光った。
スタートから果敢に先手を奪い、前半の1000mを61秒にまとめると、直線入り口でスッと後続を引き離す。残り300m辺りから追い出しに入ると、後続はついてこられずに離される一方。最後は流してのゴールだった。
レース前から「いい馬。頑張りたいね」と評価していたデムーロ騎手だったが、レース後も「良かったです。真面目な馬。前に行けたのも良かったです。自分のペースで最後までよく伸びてくれました」とノガロに対して賛辞を惜しまなかった。
だがいくら圧勝であっても、本来この時期に1800mの1000万下を勝ち上がったところで、それが「菊花賞に関係あるのか」という疑問はあって当然だ。
単刀直入にその答えを返すと「極めて現実的な可能性」がある。何故なら、”前例”がいるからだ。