【徹底考察】ローズS(G2) ジュエラー「最大のライバル・シンハライトとの力関係に迫る春2戦をプレイバック。ライバルにあって桜花賞馬に『足りないもの』とは」
【血統診断】
父ヴィクトワールピサは今年の3歳世代が最初となるが、本馬ジュエラーを筆頭にフローラS2着のパールコード、若葉S2着のナムラシングン、プリンシパルS勝ちのアジュールローズを送り出すなど上々のスタートを切っている。傾向を出すにはまだ早い気もするが、今のところ芝の中距離に活躍馬が目立っている。
従って、本馬も桜花賞から200mの距離延長が大きく影響することはないと考えられる。
だが、フランスでG3を勝った母バルドウィナは純粋なヨーロッパ血統で、母父Pistolet Bleuの血を持つ産駒は、日本には本馬の兄弟しかいないのが現状だ。
その上で、マイル色の強いファルブラヴとの配合が姉のワンカラットで、主にスプリンターとして重賞4勝を上げている。対照的にステイヤー色の強いハーツクライとの配合では、2000mの愛知杯を2着したサンシャインがいる。
つまり、母方は日本競馬においてスピードに寄った血統構成である可能性が高く、中距離の傾向が出ているヴィクトワールピサ産駒のジュエラーは、中距離よりもやや短いマイル辺りがベストとなる可能性が高い。
従って前述した通り、阪神外回り1800mこの舞台で大きな影響が出ることは考えにくいが、距離が伸びるにつれパフォーマンスに陰りが生じる可能性は大いにあるといえるだろう。なお、ヴィクトワールピサの血統構成や兄弟の活躍を見る限り、成長力は高い。桜花賞馬ながら、まだ伸びしろはありそうだ。
≪結論≫
『考察』で述べた通り、春の2戦に限ってシンハライトとジュエラーはほぼどころか、まったくの互角といえる。そうなれば、ここからの雌雄を決するカギは成長と状態面となる。
その上で、本馬ジュエラーに関してはブランクという拭えない不安要素はあるものの、現状の状態面に関しては追い切りを見る限り特に不安はない。春と比較して、馬体が一回り大きくなっているため、おそらくはある程度大きなプラス体重での出走になるだろうが、成長分も大きく見込めるだろう。
しかし、能力は互角でも「自在性」という面ではシンハライトに大きなアドバンテージがある。敗れたとはいえ、桜花賞のような勝ちに行く競馬ができたことは、今後も勝てるレースを取りこぼさないためにも良い経験になったはずだ。
対してジュエラーはチューリップ賞や桜花賞だけでなく、デビューから4戦ずっと大なり小なり出遅れている。
今後もゲートが課題となることは明らかで、春2戦や今回のような直線の長いコースでは末脚を活かす競馬ができるが、来る秋華賞では京都の内回りコースをこなす器用さが問われてくる。能力でカバーできる面もあるが、シンハライトのような互角以上の力を持つ馬が相手になるとどうか。課題克服は急務だ。
なお、管理する藤岡厩舎は先週のセントウルS(G2)をビッグアーサーで勝利し秋競馬で抜群のスタートを決めただけに、2週連続の重賞勝利を期待したいところだ。