JRAジャパンC「3歳ダービー以下」地に落ちた国際レース。昨年「7位→46位」評価急落の原因は「外国馬ゼロ」だけではない
このレースは6着までが従来のレコードを上回る2分21秒6、7着ハッピーグリンでさえ0.1差の2分22秒2で走破している。これですらかつてのホーリックスのレコードと同じなのだからいかに時計の出る馬場状態だったかはうかがい知れる。
その一方で日本馬の多くが挑戦するヨーロッパの馬場はソフトな馬場で、地力勝負となることが多い。昨年も凱旋門賞に挑戦した馬たちはキセキ7着、ブラストワンピース11着、フィエールマンにいたってはブラストワンピースからさらに15馬身後方の12着に終わった。
レース後の関係者のコメントでもキセキに騎乗したC.スミヨン騎手は「パリロンシャンの馬場は特殊で、この粘りの強い馬場はキセキには適していませんでした」と述べ、フィエールマン騎乗のC.ルメール騎手も「馬場が重すぎて走りにくかったので、加速できませんでした。やはりもっと速い馬場が良いです」と日本の馬場との違いを敗因にあげている。
これでは外国馬の関係者からすれば立場が逆の見方となるのが日本の高速馬場であり、日本馬の悲願となっている凱旋門賞などのレースに比べるとジャパンCはそこまでしてほしいタイトルではなくなったというのが現実的だ。
また、馬場以外では単純に「日本の馬が強くなったから」という意見もある。外国の一流馬を積極的に取り入れ、日本競馬のレベルは世界に通用するところまで来たというのはわかる話だ。外国馬関係者にしても引退後に種牡馬になるクラスの馬をわざわざ馬場適性のない日本で走らせて評価を下げるリスクを冒す必要性がない。
さらにはジャパンCの現在の賞金3億円という額も、1着賞金8億円のドバイワールドカップなど、高額賞金レースがいくつも増えた。国際的にもはやそれほど高額ではなくなっている。
ではJRA側の見解はどうだろうか。「スポーツ報知」の取材で後藤正幸JRA理事長が語った内容が以下である。
後藤理事長は「馬場の違いについては、世界各国で同じ馬場ではないし、天候だって変わるもの。それを主な理由にするのは違うと思う(一部抜粋)」と馬場の違いについては否定的な見解を述べている。
次に主な理由として「やはり日本の調教馬の資質が非常に上がってきた。それを海外の関係者が、十分に認知するようになったというのもあるでしょう。各国の競馬主催者の間での勧誘の競争が、激しくなってきたと思う(一部抜粋)」と後藤理事長は馬場の違いよりは日本馬が強くなったことを評価していた様子だ。
それ以外で気になったのは検疫について「検疫制度に関しても、少々リスクを冒してでも競馬場で国際検疫ができるような仕組みを作らないといけないというので、新たに東京競馬場の内馬場に国際検疫厩舎を作ることを決めた。手放しのまま現状で来てくださいというつもりはありません」と、現状の打開策としては具体的な取り組みにも触れられていた。
JRAとしても現状のまま、手をこまねいて黙っているわけではないという危機感を持っていることは伝わった。ジャパンCの威厳を取り戻すためにも、世界的にも魅力的なレースとして評価されることを願いたい。