JRAチューリップ賞(G2)ウーマンズハートに「不安」データ……「前走阪神JF組は複勝率60%」も4着以下からの巻き返しは
7日(土)のチューリップ賞(G2)に有力馬がこぞって出走する。注目の1頭が昨年の阪神JF(G1)4着から巻き返しを図るウーマンズハート(牝3歳、栗東・西浦勝一厩舎)だ。
圧巻だったのはそのデビュー戦。昨年8月、新潟マイルを舞台に3番人気ながら、次点の馬を1.3秒も上回る上がり3ハロン32.0秒をマークした。続く新潟2歳S(G3)では、単勝オッズ2.1倍の圧倒的1番人気に支持されると、ここでも上がり3ハロン最速の末脚を使い、デビュー2連勝を飾った。
3か月半ぶりとなった阪神JFはリアアメリアに次ぐ2番人気に支持されたが、優勝したレシステンシアに1.2秒差の4着。2着マルターズディオサと3着クラヴァシュドールからも0.4秒差つけられる完敗に終わった。
例年チューリップ賞は阪神JFからの直行組が多いが、今年はなんと同レースの1~4着馬が勢ぞろい。約3か月の休養を経て、それぞれがどれだけ成長したかが試される興味深い一戦となった。
現時点でレシステンシアとの1.2秒差は決定的とも思えるが、データ的にも2~3着馬を逆転することは容易ではない。チューリップ賞における過去10年の「前走阪神JF組」の成績は「7-3-5-10」で、60%という高い複勝率をマークしている。しかし阪神JFでの着順別に見ると、1~3着からは「7-2-4-4」だが、4着以下からだと「0-1-1-6」と馬券圏外からの巻き返しは非常に難しいことがわかる。
前走阪神JF4着以下からチューリップ賞を制した最後の馬は2003年のオースミハルカ。17年前までさかのぼらなければいけない。オースミハルカは前年の阪神JFで7着から見事巻き返しに成功したが、この年は阪神JFの1~3着馬が不在という珍しい前哨戦だった。
ウーマンズハートが完敗を喫した前走の阪神JFはビュイック騎手が騎乗。レース後に「内枠を最大限に生かした競馬をした」と語ったように3戦目で初めて先行したことが敗因として挙げられている。今回は新潟2歳Sでコンビを組んだ藤岡康太騎手に手が戻る。当日の馬場状態にもよるが、本番を見据えて、再び末脚を生かす競馬を試してくるだろう。
藤岡康太騎手といえば、10番人気のジョーカプチーノで2009年のNHKマイルカップ(G1)を制したことが思い出される。自身G1競走2度目の挑戦で優勝するという快挙を達成したが、その後G1制覇はなく、55戦して2着1回、3着3回と2勝目が遠い。ウーマンズハートとのコンビで11年ぶりのG1制覇を狙うためにも、人馬共に重要な前哨戦となる。
ウーマンズハートを管理する西浦勝一調教師も6年ぶりのG1制覇を見据えている。西浦調教師が最後にG1を制覇したのは2014年。ホッコータルマエのチャンピオンズカップまでさかのぼる。
来年春に定年を迎える西浦調教師はこれまでホッコータルマエを含めて3頭のG1馬を育ててきた。残る2頭がともに3歳牝馬クラシック路線を賑わせたテイエムオーシャンとカワカミプリンセスだ。テイエムオーシャンは3歳時に桜花賞と秋華賞を制覇。カワカミプリンセスは無敗でオークスと秋華賞を制覇した21世紀を代表する名牝である。
1年後の定年を前に、西浦調教師は三度(みたび)“女心”をつかみ、牝馬クラシック路線を席巻することはできるだろうか。