JRAダート界は関西馬の独壇場!? 関東から新星は生まれるか……厳選! ブレイク候補5頭
現在、中央のダート重賞路線は関西馬の独壇場となっている。2019年以降、中央で行われたダート重賞は計18レース。そのうち14レースを関西馬が制している。
ダート界における東の横綱的存在が2018年のチャンピオンズカップ(G1)を制したルヴァンスレーヴだろう。しかし、そのルヴァンスレーヴは、脚部不安のため長期休養を経て、現在は5月に行われるかしわ記念(G1)に向けて調整中。復帰後も同じような強さを見せられるかは未知数だ。
2019年から今年の2月まで、中央ではダートG1が3レース行われたが、その出走頭数は関西馬がのべ42頭出走したのに対し、関東馬はわずか4頭だけ。最高着順は今年のフェブラリーS(G1)に出走したアルクトスで「9着」という惨状である。
しかしここにきて、将来のダート界を賑わせそうな関東馬も続々登場している。ブレイク候補として美浦所属の5頭を挙げたい。
まず4歳勢から2頭。1頭目はナムラカメタロー(牡4歳、美浦・稲垣幸雄厩舎)。デビューから4戦は芝で使われ、「1-1-0-2」という成績を残したが、3歳夏にダート路線に転向。これが功を奏し、8か月間で7戦して5勝とダートで荒稼ぎ。前走の佐賀記念(G3)では重賞初挑戦で初制覇を果たした。1700m以上なら5戦5勝と、距離は長い方がいいスタミナタイプ。12日(木)に行われる名古屋大賞典(G3)で重賞2連勝を狙う。
その名古屋大賞典に出走するもう1頭の関東馬がフィードバック(牡4歳、美浦・鈴木伸尋厩舎)だ。こちらはデビューからの6戦すべてをダートで使われ、成績は「4-1-0-1」。まだ3勝クラスを勝ち上がったばかりだが、中山1800mで見せたここ2走の勝ちっぷりは秀逸。特に前走のアレキサンドライトS(3勝クラス)でマークした1分51秒6という勝ち時計は重賞レベルだった。名古屋大賞典でナムラカメタローなど実績馬を相手にどこまで食い下がれるかに注目だ。
3歳勢からは3頭のブレイク候補を紹介したい。
まずは米国産のカフェファラオ(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)。父は2015年の米国三冠馬アメリカンファラオだ。デビュー前から高い期待を背負っていた良血カフェファラオは昨年12月の中山ダート1800mでデビュー。そこで2着に10馬身差をつけ、逃げ切り勝ちを収めると、東京マイルのヒヤシンスS(L)では大きく出遅れながら、異次元の末脚を見せ、デビュー2連勝を飾った。現時点で同世代のダート路線では頭一つ抜けた存在とみられている。
そのカフェファラオに次いで推したいのがシェダル(牡3歳、美浦・栗田徹厩舎)である。半姉に紫苑S(G3)勝ち馬のパッシングスルーを持つ良血馬だ。父がルーラーシップからゴールドアリュールに替わり、ダート適性はシェダルの方が上。2戦2勝という成績はカフェファラオと同じだが、2戦とも中山ダート1800mという同じ条件だった。1勝クラスの前走はハイペースで逃げ、そのまま押し切る強い内容だった。次走は未定だが、違うコースでも強い勝ち方を見せるようなら、カフェファラオと双璧の存在になるかもしれない。
最後は、唯一の牝馬レッチェバロック(牝3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。2月の新馬戦を勝ったばかりの身だが、そのレースで2着に2.0秒差をつける圧巻の勝利だった。2000年以降、東京ダート1400mでは合計1654レースが行われているが、2.0秒以上の差をつけて勝利した馬はレッチェバロックを含めて僅か2頭だけである。
管理する藤沢和雄調教師にとっては悲願のダートG1制覇を狙える存在になるかもしれない。藤沢調教師は中央のG1を通算29勝しているが、全て芝でのもの。中央ダートG1はこれまで7度挑戦し、2009年フェブラリーSのカジノドライヴ2着が最高である。2年後の定年を前にダート界の大物を育てることはできるだろうか。
関東馬は近年のダート路線において、関西馬の後塵を拝し続けているが、ピックアップした5頭の中から近い将来にG1に手が届く馬は出てくるだろうか。