JRA宝塚記念(G1)直行濃厚サートゥルナーリア「左回り克服」も大阪杯回避でなお残る不安……
先週の金鯱賞(G2)を制したサートゥルナーリア(牡4、栗東・角居勝彦厩舎)は大阪杯(G1)を見送り、宝塚記念(G1)を目標に調整されることが決まった。
また、予備登録をしている香港のクイーンエリザベス2世C(G1)についても、「香港はないと思います。宝塚記念に向けてやっていきます」と角居勝彦調教師は直行を示唆している。
4月5日の大阪杯を使った場合、中2週となるが、6月28日の宝塚記念だと約3ヶ月半のゆとりあるローテーションが組まれることになる。そこで気になるのが、陣営の敗因の特定に対する試みである。
これまでサートゥルナーリアが、レース前に激しく入れ込み、その能力を発揮できなかったといわれているのが、4着に敗れた日本ダービー(G1)と6着に終わった秋の天皇賞(G1)の2戦だ。
いずれも左回りの東京競馬場で開催されるレースであり、「左回り苦手説」がささやかれていた。これに加え、皐月賞から日本ダービーの間隔が中5週、神戸新聞杯(G2)から秋の天皇賞の間隔が中4週だったように、間隔を詰めて使われた際も入れ込む原因となっているのではないかと「使い詰め苦手説」の声もあった。
陣営が、中京で行われる金鯱賞を選択した理由に「左回りの克服」というテーマがあったであろうことは見え隠れする。
金鯱賞後に、同馬に騎乗したC.ルメール騎手は「左回りについてはレース前から特に心配はしていませんでした。全く問題なかったです」とコメントし、管理する角居調教師も「逆に(東京の2戦で)なんで走らなかったのか分からなくなったね」と左回りへの不安が払拭されたニュアンスの見解を述べている。
楽勝してみせたサートゥルナーリアは「左回りが苦手というイメージはない」という陣営の見立てをきっちりと証明した。
だが、そこで気になるのは、おそらく「左回り克服」をテーマに使われたであろう金鯱賞に対し、間隔が詰まるとよくない懸念についてはなお不鮮明なことである。金鯱賞から大阪杯の間隔は中2週であり、これは原因切り分けのためには有効な手段だったのではないだろうか。
「左回りについては金鯱賞の勝利で問題がなかったように思えますが、大阪杯の回避は正直残念です。香港もおそらく回避が濃厚ですから前期は金鯱賞と宝塚記念の2走のみ。
せっかく左回りは克服したわけですから、陣営は大阪杯を使うことで課題といわれている間隔を詰めて使った際の確認もしておきたかったはず。
ただ、もしかすると陣営としては、間隔を詰めるとよくないという声については問題視していないのかもしれません」(競馬記者)
確かに宝塚記念への直行については、好走する条件を満たしている可能性が高いかもしれない。
だが、間隔を詰めて使われた際の入れ込みはいまだ不鮮明でもある。そして引っ掛かるのは「逆に(東京の2戦で)なんで走らなかったのか分からなくなったね」という角居師のコメントである。
これを踏まえるとサートゥルナーリアの課題はまだまだ解決には至っていない。
結論が出されるとしても天皇賞・秋やジャパンC(G1)の大レースが開催される秋の東京まで先延ばしとなりそうだ。