JRA「ドバイ中止の爪痕」何もかもが異例ずくめだった高松宮記念(G1)乗り替った騎手達を襲った、まさかの結末……
29日、日曜中京11Rの第50回高松宮記念(G1)は、松若風馬騎手の9番人気モズスーパーフレアが勝利した。松若騎手はデビュー7年目で、これが自身初のG1勝利となった。1位入線の和田竜二騎手の15番人気は直線で斜行したことにより、4位降着となった
史上初の無観客競馬G1レースとなった今年の高松宮記念。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ドバイ国際競走が中止となった影響はレースの結果にも大きな爪痕を残した。
当初、高松宮記念の出走予定馬は、ドバイに遠征する騎手が不在となる関係で多数の乗り替りが発生していた。
川田将雅騎手が主戦のダノンスマッシュは三浦皇成騎手、ドバイに遠征するC.ルメール騎手が主戦のタワーオブロンドンはL.ヒューイットソン騎手、グランアレグリアは池添謙一騎手への乗り替り。福永祐一騎手はドバイでミスターメロディに騎乗予定だった。
ところが、直前の28日になって急遽、主催者であるドバイレーシングクラブから本年の開催を中止するとの発表があり、今年のドバイ開催がなくなった。
そのため、既に出国していたルメール騎手は、帰国後2週間の隔離をJRAから要請された一方、出国を見送った福永騎手、川田騎手、武豊騎手、M.デムーロ騎手は国内での騎乗が可能となった。
これに伴い高松宮記念出走予定馬の乗り替りも発生した。タワーオブロンドンはヒューイットソン騎手から福永騎手、ダノンスマッシュは三浦騎手から川田騎手、アイラブテーラーは和田騎手から武豊騎手に乗り替わった。
また、鞍上未定だったクリノガウディーにはアイラブテーラーに騎乗を予定していた和田騎手、モズアスコットにはデムーロ騎手が決まった。
過去にもG1レースにおいて騎手がここまで多く乗り替わった例はない。
乗り替わった騎手の騎乗馬が悉く凡走したことにも少なからず影響があっただろう。
1番人気に支持された福永騎手のタワーオブロンドンは12着、川田騎手の3番人気ダノンスマッシュは10着と揃って凡走し、デムーロ騎手のモズアスコットは13着、武豊騎手のアイラブテーラーは18着の大差負け。
極めつけは和田騎手だ。騎乗したクリノガウディーは1位入線しながらも、直線で内側に斜行し、ダイアトニックとモズスーパーフレアの走行を妨害したとして4位降着となった。
結果、ドバイ中止によって乗り替わった有力各馬はすべて凡走し、15番人気で激走した勝ち馬さえも走行妨害で降着の憂き目にあった。
G1レースで1着になった馬の降着は2010年ジャパンC(G1)のブエナビスタ(1位入線→2位降着)以来の10年ぶり。さらに、馬券外まで着順が下がったのは06年エリザベス女王杯(G1)のカワカミプリンセス(1位入線→12着降着)まで遡る。
ここまでの波乱の結末を誰が想像できただろうか。
まさに「記憶」にも「記録」にも残る2020年の高松宮記念だったといえる。