JRAレース以外の騎手の「東西往来」自粛。大阪杯(G1)最終追い切りにも影響が……
1日、ブラストワンピース(牡5歳、美浦・大竹正博厩舎)が美浦トレセンのウッドコースで、5日に行われる大阪杯(G1)の最終追い切りを行った。
1週前にしっかり追い切りを行ったため、調整程度の内容。馬なりで、抜群の手応えを見せ、2つ目のG1タイトル獲得に向けて順調な仕上がりを感じさせた。
いつもの調教風景であるが、実はいつも通りではない。
「あくまでも要請の域を出ませんが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、騎手にもなるべくレース以外で東西を行き来しないよう通達がありました。そのため、東西に移動しての追い切りの騎乗はほとんどなくなっています。実際に川田将雅騎手はブラストワンピースの調教に乗る予定でしたが、今回は自粛したようです」(競馬記者)
調教に跨るために所属と異なるトレセンを、ジョッキーが訪れることは珍しくない。G1レース前となれば尚更である。川田騎手は1月のAJCC(G2)の時も、ブラストワンピースの最終追い切りのために美浦を訪れていたぐらいだ。
しかし、今回はG1前にもかかわらず最終追い切りに騎乗せず、栗東トレセンで共同会見を行っている。たしかに東西の行き来を自粛しており、新型コロナウイルスの感染対策がより強化されていることがわかる。
対策はジョッキーに限った話ではない。3月25日からJRAは馬主のトレセンへの入場を規制。28日から馬主の競馬場への入場自粛を、日本馬主協会連合会が発表。また無観客開催の高松宮記念(G1)のファンファーレはブラスバンド演奏を中止して、CD音源で対応している。競馬関係者以外の外部からの持ち込みという観点でも、新型コロナウイルス対策が一層強まっている。
騎手や調教師などの関係者から新型コロナウイルス感染者が出た場合、「開催中止」という話もあるだけに、開催継続のためにJRAは最大限の対策を打っていると言える。
日本騎手クラブの会長を務める武豊騎手は、自身のホームページの日記を1日に更新し、「先週から我々騎手も、馬に乗るとき以外は原則マスク着用となりました。無観客であっても、競馬の開催が続けられているのは大変ありがたいことで、ファンの皆さんからも『見るスポーツがなにもなくなってしまった。競馬だけが唯一の楽しみです』と声をいただいています。だからこそ、ボクらは今週も全力プレーを続けます」とコメントしている。
実際にプロ野球は無観客の練習試合ですら中止の状況。競馬が開催されているのは奇跡かもしれない。これはJRAをはじめとした競馬関係者の努力のたまものだ。
早期のコロナウイルス感染拡大の終息と競馬の通常開催の再開を願いたいところだが、まずは今の無観客での開催継続に「感謝」しなければならない。