JRA・M.デムーロ「会心の騎乗」に秘められた思い。「電車も動いてないし、ガソリンスタンドもやってない」イタリアの家族に届けた明るいニュース
デムーロ騎手がそう語ったのは『netkeiba.com』で連載中の『Road to No.1~M.デムーロ 世界一になる』だ。詳細は本インタビューを見ていただきたいが、デムーロ騎手が家族を残しているのは新型コロナウイルスの被害が大きいイタリア。それだけに心配が絶えないという。
「イタリアは今、もう全部やってないね。電車も動いてないし、ガソリンスタンドもやってない。だから、車の運転もできないし。マスクをしたくても、買うことができないですね。全部売れてしまったから」
ヨーロッパの中でも被害が大きいといわれるイタリアは、新型コロナウイルスの感染爆発によって感染者は12万人以上、死者も1万5000人を超えている。すでに18日までのロックダウン(都市封鎖)が決まっている状況だ。
そんな中、単身日本いるデムーロ騎手は、家族との連絡を欠かさない毎日。「子供たちが一番かわいそう」と胸を痛め、自身は「すぐに耳が痛くなる(苦笑)」と慣れないマスクを徹底しているようだ。
そんな毎日だからこそ、迎えた大阪杯は大きなチャンスだっただけに、いつも以上に期するものがあったのではないだろうか。勝利騎手インタビューでは「コロナウイルスはホントもう、みんなしんどいだから、一生懸命頑張りましょう」と呼びかけ、インタビュー後は周囲に何度も頭を下げている姿が印象的だった。
昨年は、前年の重賞15勝→3勝と大きく低迷した。しかし、今年はすでに今回の大阪杯で昨年に並んだ。
勝ち星こそライバルのC.ルメール騎手に劣っても、大舞台で強烈な輝きを放つのがデムーロ騎手だ。今回の復活勝利は、日本以上に深刻な状況に陥っているイタリアの家族へ、これ以上なく明るいニュースが届けられたに違いない。