JRA桜花賞(G1)「ウオッカ超え」デアリングタクト、勢力図を一変させる可能性も!? ポテンシャルの高さはすでに「G1級」

 12日、阪神競馬場で行われる牝馬クラシック・桜花賞(G1)は、2歳女王レシステンシアがチューリップ賞(G2)でまさかの3着に敗れ、桜花賞戦線は一転して風雲急を告げる様相を帯びて来た。

 これに対し、新興勢力となりそうなのが別路線組だ。シンザン記念(G3)を勝ったサンクテュエール、クイーンC(G3)勝ちのミヤマザクラ、阪神JF(G1)を1番人気で6着に敗れたリアアメリアも侮れない。

 なかでもエルフィンS(OP)を1分33秒6で勝ち、ウオッカのレコードを更新したデアリングタクト(牝3、栗東・杉山晴紀‎厩舎)は、特筆に値する走りを見せたといっていい。

 勝ち時計は今年開催の京都芝1600m条件で最速であり、まだ2月の時期の3歳牝馬としては異例のタイムだったといえる。桜花賞でライバルとなるサンクテュエールのシンザン記念は1分35秒9に過ぎない。馬場の違いはあれど、同じ条件で2秒3の差は小さくないだろう。

 芝の1600m条件となった87年からのエルフィンSを、1分33秒台で勝った馬は2007年のウオッカとデアリングタクトの2頭しかいない。牡馬相手にダービー馬となった女傑を凌ぐレコード更新は、同馬の活躍を予感させるには十分だ。

 事実、エルフィンSで披露した最後方から大外を回しながらも瞬く間に4馬身突き抜けた走りは圧巻というしかない。

 松山弘平騎手は「非常に強かったですね。最後はいい脚を使ってくれて、余裕もありました。着差以上に力強い競馬をしてくれました」と振り返り、杉山晴調教師は「冗談抜きでびっくりしました。あの位置から目いっぱい追ってもいないし強かった。優等生タイプで言うことなしです」と大絶賛したのも頷ける。

 また、桜花賞でデアリングタクトが好戦する裏付けとなりそうなのが、エルフィンSで1秒以上も突き放された3着スマートリアンと4着エーポスの存在だ。

 スマートリアンは次走のチューリップ賞(G2)を0秒3差の5着、エーポスは次走のフィリーズレビュー(G2)を優勝した。

 エルフィンSで問題にしなかった2頭が、次走で好走したことからもデアリングタクトの能力がトップクラスであることの後押しとなるだろう。

 血統的にも父は14年のジャパンC(G1)を勝ったエピファネイア、祖母デアリングハートは桜花賞を3着、NHKマイルC(G1)を2着に好走した重賞3勝馬という良血だ。

 一時は桜花賞史上最高級といわれたボーダーラインに出走も危惧されたが、それも無事クリアした。

 これまで披露したパフォーマンスから、勢力図を一変させる可能性もある。

 最大の「惑星」が下剋上に向け、準備は整った。

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