JRA当初はあの外国人騎手に打診!? 「武豊×キセキ」天皇賞・春(G1)コンビ結成の裏で消えた幻のパートナー
キセキ(牡6、栗東・角居勝彦厩舎)が、次走白紙から一転して武豊騎手との初コンビで天皇賞・春(G1)に向かうと発表されたのは先日のことである。
同馬は、3月22日に行われた阪神大賞典(G2)を単勝1.6倍と圧倒的な支持を受けながら、1秒以上の致命的な出遅れで7着に敗れ、発走調教再審査が課せられていた。
レースで騎乗する騎手を背に15日の審査に合格すれば出走が可能となる。角居勝彦調教師は「来週、武豊騎手で試験を受けます。前走後も馬は特に変わりなく順調です」と話した。
キセキは父母にエアグルーヴ、母父にディープインパクトと、現役時代に武豊騎手が主戦を務めていた馬の孫でもあり、ブラッドスポーツといわれる競馬のロマンが詰まった血統だ。
一方で、今回の乗り替りには武豊騎手とは別の騎手とのコンビ結成の可能性があったようだ。二転三転していたというその舞台裏にはどのような経緯があったのだろうか。
「当初は短期免許で今週から騎乗するD.レーン騎手に打診しましたが、問題になったのがゲート再審査です。試験を受けた騎手がレースでも騎乗するのが規則。ただ、レーンは関東の堀宣行厩舎所属のため、試験を受けるには週中に栗東トレセンへ行く必要があります。
関西の違う騎手で再審査を受け、レースだけレーン騎手を乗せる特例措置を模索したようですが、それは厳しいという結論になりました。やはり新型コロナウイルスの影響で、発表された騎手の移動制限が大きな足かせだったようです。
こで、レーン騎手を諦めた陣営は関西の他の騎手を探す方針に切り替えました。その中で武豊騎手に白羽の矢が立ったそうです。お手馬のワールドプレミアが体調不良で春は全休となりました。武豊騎手サイドも一応、メイショウテンゲンは確保していたようですが、ゲートの問題はあってもキセキの方が勝負になると考えたようです」(競馬記者)
紆余曲折はあったものの、最終的にキセキ陣営は武豊騎手を確保できた。あるスタッフは「ゲートに関してはダミアンより豊さんの方が上手ですし、何よりレースで初めて乗るというのはリスクも大きいです。キセキはかなり癖のある馬ですからね。ましてや京都の3200でしょう?馬のことを考えればいいと思います」と胸を撫でおろしていたようだ。
「平成の盾男」といわれた武豊騎手の騎乗が、非常に心強いことは確かだが、天皇賞・春への出走には、まず15日の再審査をクリアしなければならない。
5月3日、淀のターフを「武豊×キセキ」の新コンビが湧かせてくれることに期待したい。