JRA角居勝彦厩舎「大器」が福島牝馬S(G3)に登場! 「伝説の新馬戦」3着エスポワールいよいよ本格化か
今週25日に行われる福島牝馬S(G3)。角居勝彦厩舎は、その主役としてエスポワール(牝4歳、栗東)を送り込む。先月の中山牝馬ステークス(G3)で1番人気ながらも3着に敗れているが、これまで9戦4勝。馬券にならなかったのは秋華賞9着の1回という堅実さだ。
「この馬は、生産がノーザンファームで、オーナーは近藤英子さん。母スカーレットの仔4頭は、同じコンビで生産・所有されており、2017年のダービー3着に来たアドミラブル(すでに引退)もそう。こだわりの血統です。それだけにエスポワールは、デビュー前からかなり期待されていた牝馬なんです」(競馬記者)
これまでのスカーレットの仔は、すべて父がディープインパクト。だが、エスポワールの父はオルフェーヴルで、これまでの産駒と違い、未知の魅力を秘めているようだ。しかし、血統はいいが実力はいま一つ、という馬が多くいる中で、いまだ重賞勝ちもないこの馬に、陣営が今も期待しているのは何故なのか。
「それは、エスポワールのデビュー戦に理由があります。2018年の菊花賞と同じ日に組まれた、いわゆる“伝説の新馬戦”に出走しました。出走メンバーが、のちに菊花賞馬になったワールドプレミア、弥生賞やダイヤモンドSを勝ったメイショウテンゲン、万葉S勝ちのタガノディアマンテなど、前評判が高く現在もオープンクラスで走る馬たちです。
その中で、エスポワールは先手を取って逃げを選択。1分48秒0という好タイムで勝ったワールドプレミアの0.1秒差、3着に粘ってみせたのです。牝馬では申し分ない、非凡な実力を見せつけましたね。ウオッカを管理した角居厩舎ですから、当然関係者の期待は大きく膨らみました」(同)
エスポワールは、現在4歳でありながらレース数は9戦と少ない。それだけ大事に育てられたようである。
初勝利をあげた後の3戦目、3歳500万下クラス(現在の1勝クラス)で2着に敗れると、陣営は躊躇せずエスポワールを放牧へ出した。筋肉が硬直する偏み(こずみ)が出たからだが、春のクラシックを早くに諦めて復帰したのが6月。これが功を奏し、エスポワールは芯ができた別馬に変わり2連勝を飾った。
また、賞金を上積みできた陣営はここでも焦らず、3か月休ませてからぶっつけで秋華賞(G1)に挑んでみせた。
「能力は足りるとみた陣営は、無理してトライアルを使うよりも馬の成長を優先して休ませたようです。秋華賞は残念ながら9着でしたが、休み明けの稍重で、初の多頭数というレースでの結果に、まったく悲観はしていなかったようですね。むしろ、頭の良いエスポワールにとって有益な経験だった、という雰囲気で、手応えを得たようなんです」(同)
その後、エスポワールは休まず、3勝クラスの修学院Sを快勝し、初めてのマイルにも動じずターコイズステークス(G3)2着に。この頃にはかなり体質は向上しており、大器がいよいよベールを脱いだ感じだ。