JRAルメール「上のクラスまでいける」ダービーに間に合うか!? 期待の良血馬が不良の中山でぶっちぎり!
19日、日曜中山ではコントレイルが無敗で皐月賞(G1)を制して盛り上がった。だが、前日の土曜中山9R山藤賞(1勝クラス)を単勝1.9倍の1番人気に支持されたセントオブゴールド(牡3、美浦・木村哲也厩舎)が勝利したことも注目したい。期待の素質馬が2着馬に5馬身差をつける大楽勝でダービーに向けて楽しみな走りを見せた。
セントオブゴールドの血統は父ディープインパクト、母キューティゴールド、母母ゴールデンサッシュ。全姉に14年の秋華賞(G1)、15年のジャパンC(G1)を制したショウナンパンドラ、叔父にステイゴールドを持つ良血馬だ。
セントオブゴールドは昨年8月に新潟でデビュー。逃げ馬が残る前残りの流れを3着に敗れたが、次の東京の未勝利戦ではしっかりと勝ち上がった。次走セントポーリア賞(1勝クラス)ではまたしても前残りの展開で3着に敗れ、あと一歩で勝ち切れないレースが続いていた。
そして4戦目に迎えたのが山藤賞だった。この日の中山は降り続く雨の影響により、午前中から芝は不良馬場での開催。時計も掛かり、力のいる馬場状態となっていた。ここまでの3戦ですべて上がり3Fを33秒台の末脚を繰り出していたように、切れを武器としているセントオブゴールドには不利な条件に映った。
スタートこそ後方に控えたが、流れが遅いと見るや外からスーッと加速し、向こう正面では早くも逃げ馬に並びかけた。楽な手応えで外目を追走し、逃げ馬が早々に脱落すると4コーナー手前から先頭に立ち、ただ1頭次元の違う脚でゴールを駆け抜けた。
これまで後方待機から前を捉え切れずに惜敗していた馬とは、別馬と思えるようなワンサイド勝ちだったといえるだろう。
この圧勝劇に、セントオブゴールドの手綱を取ったC.ルメール騎手は「ずっと物見をしていて息が入ってどんどん加速していった。良馬場ならもっとはじける。上のクラスまで行ける馬」と期待の良血馬の今後の活躍を期待するコメントを残した。
「ここまでの3戦はディープインパクト産駒らしい末脚を見せていた馬ですが、今回の勝ちっぷりは、いい意味でディープインパクトらしくないレースぶりでした。不良馬場を苦にしない走りは、道悪が得意だった母父フレンチデピュティの血かもしれません。
かといって良馬場で切れる脚もあるわけですから、軽い馬場も力のいる馬場も両方をこなせたということは、これから大きな武器となるのではないでしょうか」(競馬記者)
惜敗していた馬が、一度の勝利をきっかけに見違える強さを見せることは珍しくはない。今回の勝利をきっかけにさらに上のクラスまで上がれる可能性は十分にあるだろう。
全姉のショウナンパンドラはクラシックには間に合わず、秋華賞を勝利したように本格化はまだ先かもしれない。とはいえ、ダービーに間に合うようなら注目しておきたい1頭ではないだろうか。