JRAキズナ産駒クラシック戦線に「黄色信号」! クリスタルブラック戦線離脱で、最後の砦はあの馬……
22日、皐月賞(G1)で16着に敗れたクリスタルブラック(牡3歳、美浦・高橋文雅厩舎)が右前脚の浅屈腱炎と診断されたことが明らかになった。全治には1年半から2年かかる見込みとなっている。
デビューから2連勝を飾った京成杯(G3)では、好位からレースを進めた1番人気スカイグルーヴの勝ちレースに思われたところ、大外から一気の末脚で差し切り、鮮烈な印象を残した。そのため、皐月賞では5番人気の支持を集めた。しかし、レースでは精彩を欠く16着に敗れてしまった。
今回の発表について、管理する高橋文調教師は「最後に伸びなかったのは、その辺りが影響したと思います」と話した。期待の有力馬だけに、長期離脱は残念である。
このクリスタルブラックの戦線離脱は、キズナ初年度産駒のクラシック戦線に「黄色信号」とも言えそうだ。
昨年の2歳リーディングサイアーランキング(賞金順)では、ディープインパクト、ハーツクライに次ぐ第3位と、キズナの初年度産駒は大活躍。また今年の重賞レースでも、京成杯をクリスタルブラック、チューリップ賞(G2)をマルターズディオサ、フラワーC(G3)をアブレイズがそれぞれ制している。すでに重賞3勝と、ここまでは順風満帆に思われていた。
しかし、キズナ産駒の歯車が狂いだしたのは桜花賞からだ……。
フィオリキアリ、マルターズディオサの2頭が桜花賞に出走したが、それぞれ7着と8着に敗れてしまった。マルターズディオサは前哨戦のチューリップ賞を勝っていただけに、期待を裏切る内容でもあった。さらに勝ち馬デアリングタクトは、キズナの現役時代のライバル・エピファネイア産駒というのも耳が痛いところだ。
さらに翌週の皐月賞では、ディープボンド、クリスタルブラック、キメラヴェリテの3頭が出走するも、10着、16着、17着と揃って大敗を喫してしまう。そこに追い打ちをかけたのが、クリスタルブラックの戦線離脱だった。
「キズナ産駒のクラシック戦線期待馬は、マルターズディオサとクリスタルブラックだっただけに苦しい状況ですね。対して、エピファネイア産駒では、今週のフローラS(G2)で1番人気が予想されるスカイグルーヴも控えています。クラシック戦線ではエピファネイアが1歩リードといったところでしょうか。
キズナ産駒の最後の砦は、19日に1勝クラスを勝ったルリアン、フラワーC勝ち馬のアブレイズになりそうですね」(競馬記者)
逆境に立たされているキズナ産駒。だが、現役時代のキズナも日本ダービー(G1)まではエピファネイアにレースで先着を許していた。その鬱憤を日本ダービーという大舞台で晴らしたのだ。
父同様に、キズナ産駒もここからの巻き返しがあるかもしれない。果たして救世主となるのはルリアン、アブレイズなのか、それとも新星が現れるか。クラシック2冠目のオークス、日本ダービーのキズナ産駒に注目したい。