JRA M.デムーロ「VSレシステンシア」またも攻略! 大穴ラウダシオン「最大の勝因」は2か月前の伏線
10日、東京競馬場ではNHKマイルC(G1)が行われ、M.デムーロ騎手の9番人気ラウダシオンが直線で粘るレシステンシアを競り落として優勝。ラウダシオンは自身の初重賞勝利をG1制覇で飾った。
1番人気レシステンシア(牝3、栗東・松下武士厩舎)に初騎乗のC.ルメール騎手は、スローの展開から楽に先手を取れる展開だった。手応え十分に直線を迎えたものの、これをピタリとマークしていたラウダシオンが並びかけ、2歳女王とのマッチレースを制した。
巻き返しを期したレシステンシアは桜花賞(G1)に続いて、またしても2着に敗れてしまった。牝馬3冠の呼び声も高いデアリングタクト相手の前走は仕方がない部分もあったが、伏兵ラウダシオンにも不覚を取ったことは、陣営にとってショックが大きかったに違いない。
レシステンシアの敗因とは何だったのか。
注目したいのは先週の土曜東京で行われた芝1600m戦の2鞍だ。6R(1勝クラス)の1分32秒1と9R秩父特別(2勝クラス)の1分32秒3とNHKマイルCの勝ち時計を上回った。これに対し、G1レースであるNHKマイルCの勝ち時計は1分32秒5でしかない。開催に1週間の違いはあるが、G1が1勝クラスの勝ち時計より遅いことには違和感がある。
そこで気になるのはレシステンシアが「溜め過ぎた」のではないかという疑念だ。
同馬が強さを見せた昨年の阪神JF(G1)の前後半3Fは前傾1.5秒、敗れてなお強しの内容だった桜花賞は前傾3.2秒と、前半3Fをかなりのハイペースで飛ばしている。
NHKマイルCの前後半3Fが前傾0.4秒だったことを考えると、実質はスローで逃げているのと大差がない平均ラップに近い。これは後続に切れ勝負で後れを取って3着に敗れたチューリップ賞(G2)とほぼ同じ展開といえるだろう。
こちらについてはデムーロ騎手とルメール騎手のそれぞれのレース後のコメントからも読み取れる。
ルメール騎手は「リラックスさせてマイペースで走れた。直線も加速している。勝ち馬のトップスピードが上でした」と切れ負けだったことを認め、デムーロ騎手は「一番いいところにつけたかった。今日の馬場では後からでは、あんまり届かない」と振り返っている。
ルメール騎手がどちらかといえば速いラップを刻むレースではなく、折り合い重視で馬なりを選択したのに対し、デムーロ騎手は目の前を走るレシステンシアに狙いを定めて差し切った。