JRA京王杯SC(G2)川田将雅「好騎乗」もD.レーン「神騎乗」に屈す……「元相棒」ダノンスマッシュ猛追もステルヴィオは完敗2着

 川田ファンにとっては、あまりにも悲しいレースだった。

 16日、東京競馬場で行われた京王杯スプリングC(G2)は、2番人気のダノンスマッシュ(牡5歳、栗東・安田隆行厩舎)が優勝。同馬にとっては、これが重賞5勝目。待望のG1初制覇へ向け、最高の結果となった。

 まさに「レーンマジック」といえる神騎乗だ。この日の東京競馬場は午前中から雨が降り、レースも稍重で迎えたが、前に行った馬が簡単には止まらない先週の傾向は健在。鋭い決め手が持ち味となるダノンスマッシュにとっては、難しいレースになることが予想されていた。

 しかし、大外枠から抜群のスタートを決めたダノンスマッシュは、そのまま果敢にハナを奪った。キャリア18戦目にして初の“逃げ”となったが、前に有利な馬場コンディションも相まって、勢いは最後まで止まらなかった。

 レース後、レーン騎手は「(勝てそうな)重賞を何回も逃していたので、今日は重賞を獲れてうれしい」と喜びを爆発。逃げたことに関しては「作戦ではなかった」と話したが、大胆な瞬時の判断が見事にハマった格好だ。

 その一方、勝ち馬に最後まで食い下がったものの2着に終わったのが、ダノンスマッシュの“元主戦”だった川田将雅騎手だ。

 ダノンスマッシュのすぐ隣の枠から飛び出したステルヴィオと川田騎手は、ダノンスマッシュがハナを奪うのを見て、好位を追走。常に“ライバル”を射程圏に入れながらレースを進めていた。

 最後の直線で、先頭のダノンスマッシュの2馬身圏内にいたステルヴィオは満を持す形でスパート。川田騎手としては2頭の一騎打ちに持ち込みたかったはずだが、なかなかその差が詰まらない。結局、2頭の差は詰まるようで詰まらないままゴールを迎えてしまった。

「ノド鳴りという課題を抱えるステルヴィオにとって、この日の雨はまさに天からの恵み。久々に本来の走りを見せて一瞬、ダノンスマッシュを捉えそうな勢いがあったんですが、勝ち馬にも脚が残っていました。

 上がり3ハロンは勝ったダノンスマッシュが33.1秒で、2着のステルヴィオが33.0秒。川田騎手の気迫がこもった追撃でしたが結局、2頭の差はゴールまでほとんど変わりませんでした」(競馬記者)

 ダノンスマッシュとは、昨夏からコンビを組んでいた川田騎手。キーンランドC(G3)やオーシャンS(G3)を1番人気に応えて快勝したものの、肝心のG1では不本意な結果が続き、今年3月の高松宮記念(G1)を10着に敗れ、ついに主戦降板となってしまった経緯がある。

 そんな川田騎手にとって、この日の京王杯SCは、まさに汚名返上のチャンス。もしダノンスマッシュを2着に従えて先頭でゴールできれば、最高のアピールになるところだった。

 しかし、ステルヴィオで最高の競馬を見せたものの、この日は相手のダノンスマッシュ、そしてレーン騎手が一枚上手だったと述べる他ない。

「外からリズムよく競馬してくれましたし、直線もいい内容で、しっかり走ってくれたと思います」

 レース後、ステルヴィオの健闘を称えた川田騎手。惜しくも勝利はならなかったが、かつてのマイル王復活の足掛かりを作ったことは確かだろう。

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