JRA「苦境」金子真人オーナーを支える友道康夫調教師。ヴィクトリアマイル(G1)ビーチサンバで久々のG1優勝を目指す
昨年、他界した大種牡馬ディープインパクトやキングカメハメハのオーナーとして高名な金子真人氏が、17日に東京競馬場で開催されるヴィクトリアマイル(G1)にビーチサンバ(牝4歳、栗東・友道康夫厩舎)を送り込む。
金子オーナーといえば、上記2頭の他にも三冠牝馬アパパネやダート最強馬クロフネの馬主としても有名だ。個人オーナーとしては歴史的な成功例であり、近代競馬を語るに欠かせない人物の1人といえるだろう。
しかし、そんな絶頂を極めた一時期とは裏腹に、近年はかつての快進撃が影を潜めつつある。先日、今年の日本ダービー(G1)の陣容がほぼ固まったが、そこに金子オーナー所有馬の名前はなかった。
無論、弱肉強食の勝負の世界である以上、栄枯盛衰は競馬の常だ。すでに伝説的な馬主である金子オーナーも、決して例外ではないのかもしれない。しかし、そんな低迷する“金子軍団”を支えているのが、ビーチサンバを管理する友道康夫調教師だ。
「金子オーナーと友道調教師といえば、やはりマカヒキ、ワグネリアンという2頭のダービー馬が光りますね。
マカヒキはオーナーにとって11年ぶりの日本ダービーをプレゼントしましたし、ワグネリアンが勝った際は、2人で号泣しながらハグして喜びを分かち合っている姿が印象的でした。今年、リーディング首位を快走するなど名門に上り詰めた友道厩舎ですが、金子オーナーの貢献は決して小さくないと思います」(競馬記者)
しかし、そんな友道厩舎をもってしても、今年は金子オーナーの所有馬を日本ダービーに送り込むことは極めて難しい状況だ。
三冠牝馬アパパネの仔ラインベックは、皐月賞(G1)を大敗の末にNHKマイルCへ。オークス(G1)2着のルージュバックの弟として期待されたポタジェもまた、トライアルのプリンシパルS(L)で惜しくも2着に敗れて出走権を逃している。
「これで金子オーナーは、ダービー不参加となることが濃厚です。一方で友道厩舎自体はマイラプソディや、青葉賞(G2)で権利を獲得したヴァルコスを送り込む予定ですから、歯痒いところもあるでしょうね。
ヴィクトリアマイルのビーチサンバはチャンスのある馬なので、友道厩舎としてもここでオーナーに久々のG1勝利を届けたいところでしょう」(同)
ビーチサンバはこれまで10戦して、距離が長すぎたオークス(G1)10着以外、掲示板を外していない堅実派だ。また、東京コースは重賞を3回走って2着2回と相性がいい。
「友道調教師はビーチサンバについて、現時点でマイルがベストと公言しており、主戦の福永祐一騎手も『広い東京なら合っている』と自信を深めています。
中間は坂路を中心に9本も追い切りを敢行。リーディングトレーナーらしく管理馬の巻き返しに余念がありません。また出遅れ癖もゲート練習を入念に行なって、万全の状態で本番を迎えることができそうです」(同)
金子オーナーが所有していたクロフネを父に持つビーチサンバ。友道調教師がオーナーにG1勝利をプレゼントできれば、所有馬をダービーに出せない悔しさを、少しは晴らすことが出来るかもしれない。